ライフイベントを前に働く私たちの、頭の片隅にある「産むなら、いつ産む?」問題。自分らしく産む、働くを実践している先輩たちに、それぞれの正解を探すためのヒントを聞きました。

女性にとって仕事とプライベートのターニングポイントがやってくる28歳前後。品川女子学院(東京・品川)は、28歳時点での女性のライフデザインに必要なことを逆算して中学・高校で学ぶ「28プロジェクト」を実施しています。自らの経験からライフデザイン教育に取り組み、卒業生の活躍を見守ってきた理事長の漆紫穂子さんに、doors世代がキャリアと出産について知っておきたいことをお聞きしました。

 「高校時代の同級生が集まってよく言っていたのが、『女性と男性でライフデザインが違うんだとあの頃教えてくれていたら、違う選択があったかもしれないね』ということでした」

 品川女子学院中等部・高等部が取り組んでいるライフデザイン教育「28プロジェクト」。始まりは、理事長の漆紫穂子さんのこうした経験でした。

女性のライフデザインを早くに知っていれば…

 漆さんは東京都立日比谷高校の出身。同級生のほとんどが大学に進学したものの、女性はその後の人生が大きく分かれたのです。

 「出席番号は五十音順、男女平等の学校で、女子も男子と同じ未来が待っていると思っていました。しかし、難関校に進学した女性たちで、早めに出産して一度仕事を辞めた人たちは、その後復帰ができなかったケースもありました。一方で、キャリアを究めていった人たちは40歳前後になって気付くと出産が難しくなっていた。こうしたことは当時、教えてくれる人がいませんでした」

 仕事と家庭の両立が困難だった世代。働きたいと言う妻に「家のことをちゃんとやってくれるなら働いてもいいよ」と答える夫が普通にいた時代です。

 しかし、人口減少が進んでいく今後の日本で、女性の労働力は不可欠。女性にとってチャンスも責任もますます大きくなっていくでしょう。それなのに、女性がキャリアとプライベートの両方について考える教育の機会は、以前とあまり変わっていないと漆さんは感じています。

 ターニングポイントを迎える世代が知っておくべきことは、何でしょうか?