コロナショックによる収入ダウンなどの不安を抱えたまま、今の時期を過ごすのはもったいない。「今、考えるべきなのは、いくら減るのかではなく、いくらあれば生活できるか」と何度も強調するのは、ファイナンシャルプランナーの前野彩さん。前回の記事「コロナ防衛・生活費の不安解消、すぐできるお金の整理術」では、withコロナ時代を生きていくために、家計を見直す大切さと具体的なステップについて紹介した。

 「家計を見直す際に大事なのは、『自分の家計の現在地を知ること』」だと前野さんはアドバイスする。

 「働く女性は日々忙しく、自分はどんな支出があるのかを把握していない人も多いと思います。時間ができた今こそ、支出を洗い出すタイミング。コロナ前に比べて減ったのか、増えたのか。緊急事態宣言が解除された今やるからこそ、変動をリアルに感じることができ、対策が打てるのです」

 最近は、お金の払い方もさまざまだ。ネットショッピングならクレジットカード、コンビニでは、電子マネーや「なんちゃらペイ」決済、テイクアウトを買う店先では現金払いということもあるだろう。「支払い方法がバラバラだと支出の管理が難しくなりますが、家計簿アプリを利用すれば、簡単に把握できる」と前野さん。

家計簿アプリだけでは「改善」はできない

 家計簿アプリは、種類もたくさんある。この自粛期間に、試しに登録してみたり、支出を記録してみたりした人もいるだろう。自動計算によって費目ごとに円グラフになるため、自分でコツコツつけるのが苦手な人には便利なツールだ。

 ただ、「家計簿アプリを使っても、見直しができているのは一部の人」と前野さんは言う。「自動でつくられたグラフに満足して、そのままにしている人も多いのでは? アプリで記録された結果を生かして改善点を見つけなければ、単なる記録にすぎません。ムダがないかを見極め、実際に支出を減らす行動に移して初めて、家計簿アプリを使った効果が出るのです」

 では、何から始めればいいのか。

 「スマホアプリ全盛の今ですが、見直すことが目的ならば、アナログで書き出す方法がおすすめ。それも、手元で管理するお金に注目するのが成功のカギ」だと言う。うーん、でもやっぱり、面倒臭い。そもそも何に書き出せばいいのか、どうせ続けられないよ――そんな人のために、編集部は、前野さん監修で、A4・1枚の家計簿シートをつくった。

 しかも、「一度書き出して予算を立てておけば、それ以降はルールを守るだけでOK」というから、やってみる価値はありそうだ。

自分でカスタマイズできるエクセルの家計簿シート。まさに、ぺら1枚! ダウンロードは2ページ、書き方の解説も。入力すると自動計算もされて便利。ぜひ一緒に取り組んでみてほしい
自分でカスタマイズできるエクセルの家計簿シート。まさに、ぺら1枚! ダウンロードは2ページ、書き方の解説も。入力すると自動計算もされて便利。ぜひ一緒に取り組んでみてほしい