5年前までは会社員で、システムエンジニアとして働いていた小島未紅さん。彼女は「残業中のブラジャーの苦しさ」に悩んだことがきっかけで、下着ブランドの社長になった。入荷後は即完売となり、SNSでもバズる「24hブラ」を、どのようにして開発したのか。知識も人脈も資金もない状態から、ノンワイヤのレースブラジャーをプロデュースした「こじみく」さんに、人生を劇的に変えていった道のりを聞いた。
超安定志向、起業とはほど遠い存在だった
「学生時代も就職後も、まさか自分が起業するとは思っていませんでした」
そう語るのは、快適な着け心地が続くと評判の「24hブラ」を開発した小島未紅さん。2014年に新卒でNTTグループに入社し、システムエンジニアとして働いていた彼女は、自身のことを「超安定志向」だと語る。
「システムエンジニアの仕事には興味があったのですが、大手企業に就職したのは『安定』を求めていたからです。大学生の頃は、将来起業を志している人や、ベンチャー企業への就職を希望している人を見ると、『熱い人だな……』と思って一歩引いていたくらい、起業は私にとって遠い存在でした」
就職後は仕事に対する不満はなく、上司に業務の提案をするなどして、前向きに働いていたという小島さん。長く働き続けられるよう人間関係にも気を配り、社内でバーベキュー大会などがあれば、積極的に参加していたという。
しかしその一方で、「いつしかキャリアの不安を抱えるようになった」と語る。
「会社員時代は大規模システムを扱っていたので、私が携わる業務は限られていました。部分的かつ専門的な仕事をしていたので、『自分が今やっている仕事は、将来のキャリアにつながるのだろうか?』『他の会社でも生かせる汎用性のあるスキルなのだろうか?』と思うようになったんです」
例えば、結婚後に夫の仕事の都合で転居が必要になった場合や、出産を機に働き方を変える必要が出てきた場合など。「超安定志向だからこそ、ライフステージの変化に対応できるだけのスキルやキャリアを持てていないことに対して、不安を感じるようになりました」
こうしたキャリアへの不安を抱えていた時期に、転機は訪れた。