長いキャリア人生の中で自分が思い描いたようなプランを進めるためには時には自分にお金と時間をかけることが必要です。今回の特集では具体的な自己投資の方法のほか、実際に自分に投資をすることによってキャリアを開拓した女性たちを紹介します。

妊活で「キャリアにブランク」の焦り

 現在、外資系幼児教育関連会社の日本法人代表を務めている正木寛子さん。早稲田大学教育学部卒業後、大手予備校講師を経てベネッセコーポレーション(以下、ベネッセ)に転職、『こどもちゃれんじ』など未就学児向けの通信教育教材の制作に携わってきた。

 32歳で結婚後、妊活のため退職し、母校の大学院に入学。出産後も育児をしながら学び続け、修士課程修了後、出版社の文響社に転職。そこで編集担当の一人として手掛けた『うんこドリル』は子どもたちの間で大ブームを巻き起こし、ベストセラーとなった。

 「私の意見ですが、修士号を取得したことで自分の専門分野をアピールでき、かつキャリアに説得力が生まれ、社会的な信頼性が上がったと感じています」と話す正木さん。大学院に行くと決めたのは、結婚と妊活がきっかけだった。

 「新卒から教育業界でキャリアをスタートさせました。予備校講師もやりがいがありましたが受験勉強が中心だったので、もっと幼い子どもたちの学習意欲そのものを引き出せる仕事がしたくなり、ベネッセに転職。『こどもちゃれんじ』では小学生になる前の子ども向けに、知的好奇心を高め、遊びながら楽しく学んでもらえるような教材や動画制作に携わりました。

 結婚して子どもができてもずっと働き続けるつもりでしたが、数回流産してしまい、体調を整えるために退職を決意、妊活に専念することに。ところが、思ったより時間を持て余すようになり、このままではキャリアのブランクになってしまうと焦りが出てきたんです」