本業スキルを生かすか、新たな職種・業種に挑戦するか

 さて、日経doorsの読者アンケートには、「副業に興味はあるが、何をしたらいいか分からない」という声も寄せられました。実際、副業を実践している人たちはどんな副業をしているのでしょう。7人の副業実践者を取材する中で、分かったポイントがこちら。

 それは、「本業を生かした副業をする」か、それとも「本業とは異なる業種や職種に挑戦する」かという視点です。

 本業を生かす副業とは、本業で培ったスキルや人脈、ナレッジを生かし、その延長線上で行う副業を指します。本業で日々行っている仕事を副業に展開できるため、無駄なく、無理なく働くことができます。本業だけではリーチできないような幅広い客層を相手にし、場数も踏めるので、自分の専門スキルをさらに効率よく高めることができます。

 しかし、落とし穴もあります。

 それは「競業避止義務を守れるかどうか」ということ。例えば、本業の競合会社で働くなど、会社の正当な利益を不当に害する行為は法律で禁じられています。つまり、本業勤務先の副業に関する規定がカギを握ります。副業に興味がある人は、まずは自社の副業に関する規定を今一度確認してください。この特集ではサイボウズ人事部へのインタビューで、副業先進企業がこれをどう管理しているのか探ります(第7回で紹介)。ご期待ください。

 一方、新しい分野に挑戦する副業とは、本業とは全く関係ない、あるいは関係性の薄いスキルを新たに身に付け、新たなナレッジを培い、新たな人脈を構築していくものです。その結果、自分の幅はぐんと広がりますが、自力で新しいスキルを構築する必要があるため、時間やお金のコストがかかるという面があります。また、本業に関係なくても、もとからの趣味や特技、家族のリソースなど、自分ならではの経験や環境を生かせる場合もあります。なお、副業で異業種・異職種に挑戦した経験を生かして、本業で思わぬキャリアが開かれる可能性もあります。

 特集の第2回、第3回では、「本業を生かした副業を実践している人」と、「本業とは異なる分野に副業で挑戦している人」を3人ずつ紹介します。6人とも、副業も本業もさまざま。気になるポイント(1日24時間の使い方、副業による月収、本業勤務先での「副業」の扱いなど)を図版とQ&Aで分かりやすく紹介します。

 それぞれのケースのメリットや課題、将来設計などを読めば、「副業に興味がある」「(遠い将来)副業をやってみたい」という人にとっては「自分の場合はこんな副業ができるかもしれない」と考える材料になり、「既に副業を実践している」人にとっては自分の副業・本業の両立の仕方を見直し、より無理なく働く方法を模索するヒントを得られるはずです。お楽しみに!

取材・文/橋本 岬 イメージ画像/PIXTA