結婚や出産というライフイベントとキャリアを両立するにはどんな心がけが必要で、パートナーとはどう関係を構築すべきなのでしょうか。結婚経験があるキャリア女性の生の声や専門家のアドバイスから、成功と失敗の分かれ道を探ります。

『家族と話し合いをしてますか?』(PHP研究所)著者で、夫婦や家族のコミュニケーションなどに関する講演やコーチングを手掛け、数多くのカップルの実情を知るライフデザインコーチの斉田英子さんと共に、「結婚とキャリアの両立失敗パターンと解決策」を整理した。その結果、どんな失敗パターンでも「相手と話し合って解決策を探る」、つまり、コミュニケーションがカギを握ることが分かってきた。斉田さんに、結婚とキャリアの両立に不可欠な、コミュニケーションのコツを詳しく聞いていく。

同居開始後と子どもが生まれたタイミングがポイント

 夫婦や家族のコミュニケーションなどに関する講演やコーチングを手掛けるライフデザインコーチの斉田英子さんと共に、主な「結婚とキャリアの両立失敗パターンと解決策」を整理した(上図参照)。

 表の左端の欄は、その失敗事例に関係する相手や環境カテゴリーだ。中央の欄は失敗の内容、右端の欄は失敗を解決するためのヒントとなっている。例えば、一番上の事例は、「結婚後に、パートナーが家事・育児をしない人であることに気づいた」という失敗だ。解決策は次ページで紹介していく。

 「注意すべきは、結婚のタイミングというより、結婚を意識して相手と付き合い始めたタイミングですね。結婚を意識した付き合いの中では、2人の関係がきれいごとばかりではなくなります。そして、同居開始は『結婚とは、日々の生活を共にすること』という現実を理解するきっかけになり、2人の関係性に変化が生じます。同居後、生活がスムーズに回るのであれば、『結婚』はそれを境に2人の関係づくりをバージョンアップさせるという気持ちでいて問題ないでしょう。

 その後は、子どもが誕生するときに大きな変化が訪れる場合が多いです。子どもの数が増えるたびに、関係性が大きく変化していくものと心得ましょう。

 また、子どもが成長するにつれて、そして、お互いが年齢を重ねるにつれて、仕事への向き合い方が変わることもあるでしょう。その中で、転勤や異動による単身赴任や転居をしたり、転職や起業をしたいという考えが生まれたりする可能性もあります。これらはすべて、夫婦や家族に大きな影響を及ぼすライフイベントです。

 さて、ここで大事なのは、もし結婚後に『私が選んだパートナーは家事や育児をしない人だった』ことに気づいても、慌てる必要はない、ということです」

 斉田さんは、最初から家事・育児をうまく分担できるカップルなんてそうそういない、と言う。さらに言えば、家事・育児を半分ずつ分け合うのが正解というわけでもない。「カップルが1000組いれば、結婚とキャリアの両立の仕方は1000通りあります。『私たちには、どんなかたちの働き方や暮らし方が合っているのだろう』と、自分たちのスタイルを探る過程を楽しんでほしいです」

2人の関係性が変わる可能性があるのは同居のタイミング。そして、子どもの誕生、異動や転職、単身赴任、転居などがある。よい関係づくりのポイントはコミュニケーションだ
2人の関係性が変わる可能性があるのは同居のタイミング。そして、子どもの誕生、異動や転職、単身赴任、転居などがある。よい関係づくりのポイントはコミュニケーションだ