転職ノウハウは世にたくさんあるけれど、今いる会社で市場価値を高める方法は、意外と共有されていない。異動したいとき、評価を上げたいとき、実績を作りたいとき、メンターが欲しいとき‥‥これからのキャリアにつなげるために何ができるのか。今いる会社でできるキャリアの戦略の立て方を探ります。

2019年に社内起業制度を活用し、インポートパーティードレスのレンタルサービス企業「ANDYOU DRESSING ROOM」(以下、アンドユー)を立ち上げた松田愛里(あいりぃ)さん。現在、CEOとして会社運営のすべてを担っており、「社内起業が可能な環境で、興味があるならぜひチャレンジしてみてほしい」と話します。社内起業をかなえた経緯とプレゼンを成功させるコツを聞きました。

「天職」だと思っていたIRから一転、社内失業

 松田さんは、大学卒業後、大手ウエディング会社のノバレーゼに入社。社長の経営方針やビジネスへの考え方に共感し、就活当初はあまり関心のなかったウエディング業界へ進むと決めた。入社後は社長室で経営管理のサポートを担当、2年目で新設されたIR部門へ異動した。

「データを用いて正確な情報を伝えるIRの仕事は、物事をあいまいにするのが苦手な私の性格に合っていました。天職に思えましたし、毎日が充実していたんです」
「データを用いて正確な情報を伝えるIRの仕事は、物事をあいまいにするのが苦手な私の性格に合っていました。天職に思えましたし、毎日が充実していたんです」

 ところが、異動後しばらくして、会社の上場廃止、ファンドへの株式譲渡が決定。IRもなくなると分かり、大ショックを受けた松田さんは「完全に社内失業した」と茫然自失の状態に陥った。

 他の部署に移る気にもなれず、落ちこんでいた松田さんを救ったのは同じIR部門の上司だった。意欲を失い、転職を迷っていたところ「IRをちゃんと終わらせて、次は広報として一緒に頑張ろう」と声を掛けられ、気持ちを切り替えることができた。

 「転職も考えましたが、会社や仲間が好きで離れたくなかったですし、上司の前を向く姿勢に励まされました。これからもこの人と働きたい! と思ったんです。この上司は私にとってのメンター。やはり、何でも話せて相談できる上司の存在は心強いです。上司のサポートもあって、広報異動後に挑戦した社内起業制度を使って、アンドユーを立ち上げることができました

 転職して人間関係を構築しながら一から新たなことにチャレンジするのではなく、今の会社で可能性を探すと決めた松田さん。いろいろな人のサポートを得つつ、事業を考えるのがやりたいことを実現する1番の近道だと考えた。

 とはいえ、ノバレーゼの社内起業制度で事業化が実現したのは、アンドユーが初。シビアな制度の中、松田さんはどのように社内起業をかなえたのだろうか。

「ANDYOU DRESSING ROOM」松田愛里さんが振り返る<社内起業 失敗と成功の振り返り>社内公募1回目で落選の反省/・○○で「夢物語」を語ってしまった/・数字面を○○/・○○不十分だった/・情報収集が不足していた/社内公募2回目で成功のコツ/・業界全体の動向をチェックして○○落とし込む/・○○を集める/・○○のサイトで○○を学ぶ/・プレゼン前は○○を重ねる/・上司と信頼関係を築く