昇進、転職など仕事の分かれ道に、結婚や出産などのライフイベント…。選択肢が広がれば悩みも多様化、「キャリア迷子」になりがちです。だからこそ、力付けてくれる「メンター」が欲しい! 見つけ方、関係のつくり方のノウハウを、実例を基にお伝えします。

メンターのつくり方

アドビの役員(バイスプレジデント)として、日本でのマーケティング活動を統括する秋田夏実さん。金融業界でのキャリアアップを経て2018年に現職に就いた秋田さんは、3人の子どもを育てるワーキングマザーでもあります。そのキャリアの背景にあるのは、20代の頃から深くつながるメンターの存在。自分らしく生きることをサポートしてくれるメンターと、よい関係を築く秘訣を聞きました。

転職、結婚、留学…転機だらけの20代

 金融業界を中心にキャリアを積み、2017年、ソフトウエア会社であるアドビに転職した秋田さん。プライベートでは15歳、6歳、3歳の子育てに奮闘する母親でもあります。輝かしい経歴の持ち主ですが、20~30代ではさまざまな悩みに直面したそうです。

 初めの転機は、25歳のとき。新卒で入社したメガバンクから石油会社へ転職してほどなく、結婚を目前に控えたパートナーの海外留学が決まりました。同行するか、当時の職場で働き続けるべきかという壁に突き当たったといいます。

 「もちろん夫と離れたくなかったですし、ついて行くのなら私も海外で勉強したいと思いました。ただ、留学したくても英語力がないし、出願して受かるかどうかも分からない。いろいろな悩みが一気に押し寄せて、一人では抱えきれず、先輩に相談しました」

「勤めていた職場のことも大好きだったのでそこで働き続けたいという気持ちもあり、一人では悩みを解きほぐせなくなっていました」(秋田さん)

 秋田さんが相談したのは、同社の奨学金を受けていた縁で学生時代からメンターになってもらっていた常務と、人事部課長の男性2人(役職はいずれも当時)。まだまだ仕事を覚えるべき立場の20代の自分が、いきなり留学したいなんて言ってもいいのだろうかという葛藤があったそうです。

 「こんな相談をしたら怒られるかもしれないと思いましたが、2人とも『いいじゃないか、頑張れ!』と言ってくださったのです。キャリアの参考になるようにとビジネススクールの卒業生も紹介していただきました。背中を押してもらい、覚悟が決まりましたね」

 秋田さんはパートナーと共に渡米。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院でMBAを取得し、その経験を足掛かりに、帰国後もチャレンジングなキャリアを歩むこととなります。

 秋田さんが20代だった頃は、現在ほど女性活躍に熱心に取り組む企業は多くなく、メンターをつくるという意味では、今より難しい環境だったともいえます。そんな中で、秋田さんはどのように目上の人との距離を縮め、関係を築いていったのでしょうか。次ページから、そのノウハウを紹介します。

目上の人とのコミュニケーションに慣れていないと、どう声を掛けていいか迷うもの。関係づくりをスムーズにしてくれる言葉とは?
忙しい立場の人にはNGかも……という一言も。次ページ以降をチェックして!