近年、不妊治療経験を告白する著名人も増えてきた。身近に感じ始めた読者も多い。とはいえ、不妊治療をする6人に1人が離職するというデータもある。「もし自分が不妊治療をすることになったら、何が必要でどう変わるのか」。もしも子どもができなかったら…?という視点も含め、不妊治療とキャリアの両立のリアルを探る特集。

不妊治療6人に1人が離職、3組に1組の夫婦が心配

 近年、不妊治療経験を告白する著名人が増えてきた。だからこそ、不妊治療を身近に感じ始めている人も少なくないだろう。

 国立社会保障・人口問題研究所が行っている出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)によると、不妊に対する心配や治療の経験が増加傾向にあることが分かっている。

 不妊を心配したことのある夫婦は3組に1組を超え、子どものいない夫婦では55.2%に上る。実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は全体で18.2%、子どものいない夫婦では28.2%だった。

※参照/第15回出生動向基本調査(2015年)

 また、順天堂大学など複数の医療機関が、2018年から全国の不妊治療専門の医療機関の外来を受診した女性(1727人)を対象に行った世界初の大規模疫学研究の調査結果では、不妊治療開始後の日本人女性の約6人に1人が離職し、「非正規の社員であること」「職場でのサポートがない」「不妊期間が2年以上」「学歴が大学未満」が離職のリスク要因になっていることも分かった。同研究では他にも、不妊治療中の女性の58.3%が治療のため突発的に月に1~2日以上仕事を休んでいたことや、5人中2人は職場に不妊治療中であることを伝えていないという実態も明らかになった。

※参照/日本人女性における、不妊治療開始後の離職のリスクファクター:J-FEMAスタディ

 実際、取材した不妊治療経験者の多くが、キャリアと不妊治療の両立に悩んでいる。

 でも、「もし自分が不妊治療をすることになったら、何が必要で、どう変わるのか」、具体的なイメージがわかない人も多いのでは。

 不妊治療とキャリアの両立は、何が一番大変なの?
 不妊治療にはいくらくらいかかるの?
 治療をしても、子どもができなかったら……?
 最近よく目にする「卵子凍結」って、いったい何するの?

 そんな素朴な疑問について、経験者のインタビューや専門家の取材から解を探る「不妊治療とキャリアのリアル」特集。まずは、実例の本音インタビューからお届けする。

谷内侑希子 約2年の不妊治療を乗り切る夫婦の関係性(9月上旬公開)

 2020年、36歳のときに女性特有の体の変化をサポートするフェムテック企業・WRAY(レイ)を立ち上げた谷内侑希子さん。28歳で第1子を出産後、不妊治療を経験し33歳で第2子を出産した。

 当時、治療と仕事を両立させるために、谷内さんが工夫したこととは? 不妊治療に前向きに取り組めるよう、パートナーとの関係性を育てる上で意識したことは? 不妊治療をする中でやっておいてよかったことをインタビューした。

31歳 働きながら不妊治療、卵子凍結を選択した理由(9月上旬公開)

 結婚5年目を迎えた山内弘美さん(31歳・仮名)は、幼い頃から母親になる夢を持っていた。ところが、自分が思っていたよりもスムーズに子どもを授かることができず、夫と相談の上、不妊治療を選択。自分の想像以上に長期化し、現在も、正社員として働きながら前向きに治療に取り組んでいる

 フルタイムで働きながら治療を続けるために、山内さんはどんなことを心掛け、どんな治療を選択したのか。 周囲へどうやって説明しているのかなど役立つノウハウも。

5年で460万円、41歳で不妊治療をやめた、今の幸せ(9月上旬公開)

 不妊治療をしても、誰もが子どもを授かれるとは限らない。子どもを持たない人生を選択したときには、その事実とどう向き合えばいいのだろうか。

 人気ブログ『妊活は忍活?! アラフォー不妊治療体験記』を運営し、エッセー漫画『私が不妊治療をやめたわけ』を出版した海原こうめさんに、「仕事と不妊治療の両立」「夫婦間の温度差」「費用」「友人や芸能人の妊娠報告への向き合い方」「子どものいない人生を選択した今の心境」などを聞いた。

「働きながら不妊治療」納得できるクリニックの選び方(9月上旬公開)

 不妊治療を選択する場合、大切になるのがクリニック選び。ネットやSNSなどにもたくさんの情報があふれている中、自分にとってベストな病院を探すには、どんな点をポイントにして探せばいいのか。

 「現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会 NPO法人Fine」理事長の松本亜樹子さんに、働きながら不妊治療を始める場合のクリニック選びのポイントや、キャリアとの両立で考えておくべきことを聞いた。

卵子凍結のメリデメ 不妊に悩む前に知っておきたいこと(9月上旬公開)

 「いつかは子どもが欲しい」と思っていても、産むタイミングやキャリアとの両立に悩み、「将来的に不妊治療をすることになったらどうしよう」と感じている20~30代女性は多いはず。

 不妊を防ぐために、今からできることは何なのか。また、卵子凍結という選択肢には、どんなメリットとデメリットがあるのか。卵子凍結のカウンセリングを行うプリンセスバンク代表の香川則子さんに話を聞いた。上編では不妊に悩む前に知っておくべきこと、下編では卵子凍結のステップや費用、メリットデメリットを解説する。


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構成/日経xwoman doors