不妊治療とキャリアのリアル
2020年、36歳のときに女性特有の体の変化をサポートするフェムテック企業・WRAY(レイ)を立ち上げた谷内侑希子さん。28歳で第1子を出産後、不妊治療を経験し33歳で第2子を出産。治療と仕事の両立の工夫やパートナーとの関係性を育てる方法について話を聞いた。

WRAY代表の谷内侑希子さんは、結婚・出産といったライフステージの変化の影響も受けながら、外資系企業勤務やスタートアップ企業の取締役、社会問題の解決を目指した起業などのキャリアを切り開いてきた。30代前半には、約2年間の不妊治療も経験した。
「体質に合う治療法が見つからず、心身の負担に悩んだ時期もありました。でも、それが理由で仕事を辞めたいと思ったことはありません。もし仕事を辞めて妊娠できなかったらもっと後悔すると思いました」と振り返る。
働きながらの不妊治療で一番大変だったことを聞くと、「通院時間の確保」と即答する谷内さん。谷内さんの場合、自宅・職場からの利便性と治療方針を軸に病院を探したが、第2子のときは治療内容に対応したクリニックが限定され、当時の待ち時間は約2時間。1~2週間おきの通院が必要な時期もあり、時間の捻出に毎回苦労したという。
20代で妊活を始めた当初は、妊活に関する知識は夫婦ともにほぼゼロからのスタート。2人の知識や熱量に大きな差が出ないように、パートナーと日常的に情報共有をし、不妊治療の現状や治療のステップアップ、治療中の心身の状況などもその都度話し合いながらさまざまな壁を乗り越えてきた。
次からは、不妊治療と仕事を両立するために谷内さんがした行動や、パートナーとのギャップを埋める工夫、治療が思うようにいかないときの心の持ちよう、不妊治療をする前にしてよかったことについて詳しく紹介していく。