近年、不妊治療経験を告白する著名人も増えてきた。身近に感じ始めた読者も多い。とはいえ、不妊治療をする6人に1人が離職するというデータもある。「もし自分が不妊治療をすることになったら、何が必要でどう変わるのか」。もしも子どもができなかったら…?という視点も含め、不妊治療とキャリアの両立のリアルを探る特集。

働きながらの不妊治療には、信頼のおける病院、医師との出会いが重要になってきます。そこで今回は、「現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会」として活動するNPO法人Fine 理事長の松本亜樹子さんに、病院選びのポイントと不妊治療を始めるにあたり、壁になることについて話を聞きました。

不妊治療を視野に入れた病院選びのポイント

 「結婚や妊娠の前から、不妊治療に興味を持ったり考えたりするのはすばらしいことです。このタイミングを逃さず、妊活やライフプランについて一度じっくり考えてください

 こう話すのは、NPO法人Fine 理事長の松本亜樹子さん。現在、不妊体験を持つセルフ・サポートグループFineを運営し、妊活に取り組む人をさまざまな形で支援している。活動を通じて、幅広い年代の人から妊活や不妊治療の悩みを聞く中、若手女性には特に「妊娠前から、定期的に婦人科検診を受けておいたほうがいい」と言う。

 「出産を考えているなら、基礎体温や生理周期を自分で把握しておくことは基本です。病院では、卵巣年齢を計るAMH(アンチミューラリアンホルモン)検査なども定期的に受けるとよいでしょう。特に、排卵日は自己判断では間違えやすい傾向にあるので、必要に応じてそちらも調べてみるといいかもしれません。

 女性だけではなく、パートナーとなる男性も精液検査などを受けておいたほうが、妊活をスムーズに始められると思います。もし、不妊の原因となり得る何らかの病気や症状が見つかったとしても、治療すれば妊娠しやすくなるケースもたくさんあります。検査や治療を怖がることはありません。自分の通いやすい病院を探して、いざというときも頼れる『かかりつけ医』を持っておくといいでしょう」

 そこで私たちが頭を悩ませてしまうのが、病院選びだ。さまざまな情報があふれている中、どんな点を重視して探せば、自分に合う病院が見つかるのだろうか。松本さんに、不妊治療を視野にいれた場合の病院選びのポイントと、働きながらの不妊治療について考えておきたいことを聞いた。