近年、不妊治療経験を告白する著名人も増えてきた。身近に感じ始めた読者も多い。とはいえ、不妊治療をする6人に1人が離職するというデータもある。「もし自分が不妊治療をすることになったら、何が必要でどう変わるのか」。もしも子どもができなかったら…?という視点も含め、不妊治療とキャリアの両立のリアルを探る特集。

「いつかは子どもが欲しい」と思っていても、産むタイミングやキャリアとの両立に悩み、「将来的に不妊治療をすることになったらどうしよう」と感じている20~30代女性は多いはず。不妊を防ぐために、今からできることは何なのでしょうか。また、卵子凍結という選択肢には、どんなメリットとデメリットがあるのでしょうか。卵子凍結のカウンセリングを行うプリンセスバンク代表の香川則子さんに話を聞きました。

【上】将来不妊で悩まないためにできること 誤解多い基礎知識 ←今回はここ
【下】卵子凍結の費用とメリデメ 年齢のリスクとコスパの現実
卵子のプロ・生殖工学博士の香川則子さんが解説。上編では、誤解されていることも多い「不妊」についての基礎知識をお伝えします
卵子のプロ・生殖工学博士の香川則子さんが解説。上編では、誤解されていることも多い「不妊」についての基礎知識をお伝えします

産むための体と心を1人で整えておく「エア妊活」

編集部(以下、――) 将来的に不妊で悩まないために、妊娠や出産の経験がない20~30代女性が今からできることはありますか? パートナーと出会えたときにスムーズに妊娠できるよう、産むための体と心を1人で整えておくことを、香川さんは「エア妊活」と呼んでいますよね。

香川則子(以下、香川) まずは自分の体の状態を確認するために、1年に1度は「婦人科検診」を受けることが大切です。会社などの健康診断で、「子宮頸(けい)がん」の検診を受けたことがある人もいるかもしれませんが、この検診だけでは他の病気――「子宮筋腫」や「子宮内膜症」などは発見できません。これらを見つけるためには、超音波検査が必要です。

 また、自然妊娠が可能かを確認するためには、卵管の検査をしておくことも大切です。卵管の状態をチェックする「通水検査」をすることで、卵管が塞がったり潰れたりしていないかを調べることができます。

―― 最近は、卵巣年齢が分かるといわれているAMH(アンチ・ミューラリアン・ホルモン)検査もよく聞きます。これはどういう検査なのでしょうか?

不妊治療の4ステップ「タイミング法」「人工授精」「体外受精」「顕微授精」についても解説します
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