テレワークの働き方が広がる中、上司とコミュニケーションをする頻度が減ったという人もいるでしょう。一人ひとりの働き方や仕事の進捗状況が見えづらい中、上司との信頼関係を保ちつつ、高評価につなげるためにはどのようなアプローチが効果的でしょうか? 上司のマネジメントスタイルとIT活用度を軸に、4つのタイプに分類。物理的に距離がある中でも、上司を味方に付け、仕事をより進めやすくする対処法を2人の専門家から学んでいきます。

相手の感情をキャッチし、やる気を高める工夫を

 コロナ禍を機にテレワークを導入した企業では、直後の試行錯誤を経て数カ月がたちました。これまでを振り返り、「通勤ストレスが減った」「仕事の効率化につながった」とポジティブな声がある一方で、テレワークのマネジメントに対する弊害やコミュニケーションロスを懸念する声もあります。

 「テレワークには個人のストレス軽減や業務の効率化、社会問題の軽減などさまざまなメリットがありますが、物理的に離れて仕事をしている関係者との間で情報交換がしにくいのはデメリット。誰とでも情報交換ができるようにするマルチコミュニケーション力を身に付けることが大切です」と話すのは、外資系IT企業で約20年働き、テレワークで実績を上げてきた経験を持つ人材育成コンサルタントの片桐あいさん。テレワークをうまく進めるためには、誘惑に負けないセルフマネジメント力を鍛えるとともに、仕事の成果を見えるように伝えていく力も欠かせないと言います。

 「オンラインを介した人間関係は肌感覚の情報が制限される分、感情の部分が置き去りになり、ささいな違和感がトラブルの火種につながってしまうことも少なくありません。不安や気づきなどの感情や思考をお互いにキャッチする意識を持ち、モチベーションを高める工夫をこれまで以上に大事にしてもらいたいです」

<テレワークがうまくいくために必要な3つの力>・セルフマネジメント力/・マルチコミュニケーション力/・成果の見せる化力/※『これからのテレワーク 新しい時代の働き方の教科書』より

 正攻法だけでなく裏マネジメントも駆使しながら大手金融企業の現役管理職を務め、マネジメント・コンサルタントとしても活躍する芦屋広太さんは、「上司の気持ちや行動の基準となる価値観を把握した上で、次の行動を考えると仕事がスムーズに進められます」とアドバイスします。

 「社内で仕事を進めていく上では、自然と組織間の利害関係が発生するもの。上司との仕事は、ときに交渉が必要です。日常的なやりとりの中から情報を収集し、相手の行動を想定した次の一手を考える習慣を身に付けましょう。例えば、自分がやりたいことをそのままストレートに言ったら、相手はどう反応するか? 過去にどのようなアプローチではゴーサインが出て、どういう場面ではNGだったか? 対立は避けて気持ちよく動いてもらうために、相手は何に喜び何を嫌がるか? 理由から心情、背景にまで想像力を働かせながらアクションを起こせるといいですね」

 個性に合わせた柔軟な対応が、良好な人間関係のカギ。今回、上司のマネジメントスタイルとIT活用度によって大きく4タイプに分け、それぞれの具体的なアプローチ法をアドバイスしてもらいました。次のページでは、タイプを問わず押さえておきたい評価を上げる行動、上司との人間関係向上のポイントについて紹介します。

<管理スタイル×IT活用度のマトリックス>2人の専門家がタイプ別アドバイス!
(1)管理型×IT活用度が高い
「上司からメールやチャットで次々に指示が来て、仕事に集中できない!」ときの対処法→ 3ページ

(2)放任型×IT活用度が高い
「テレワークでの指示内容がアバウトで、やるべきことがよく分からない」ときの対処法→ 4ページ

(3)管理型×IT活用度が低い
「電話で頻繁に連絡が来るけれど、指示内容が流れてしまいそうで不安」なときの対処法→ 5ページ

(4)放任型×IT活用度が低い
「上司が超忙しそう! 放任状態が続くと大きなミスが起きそうで怖い」ときの対処法→ 6ページ