人生100年時代と言われるなか、定年後も自分らしく働き続けたいと考える人は増えています。長く充実したキャリア人生を送るには30代、40代からの準備が不可欠。先輩や専門家から長く働き続けるための知恵やコツを聞きました。

「人生100年時代」と言われて久しい一方で、少子高齢化による年金の給付水準の引き下げなど、老後の経済的な不安は増すばかり。定年後も働く未来が選択肢の一つになりつつある今、「60歳を過ぎても自分らしく働き続ける」ために、私たちは何をしておくべきか。モロッコ雑貨のオリジナルブランド「ファティマ モロッコ」を42歳で立ち上げ、好きなことで働き続けるキャリアの舵を切った大原真樹さんに、「長く働き続けるために、20代、30代の今からできること」を聞いた。

常に「好き」を優先に生きてきた

 東京・表参道の一角に、色とりどりのモロッコ雑貨が所狭しと並べられた専門店「ファティマ モロッコ」がある。代表でディレクターの大原真樹さんは、高校卒業後、アパレル会社での販売員、セレクトショップで販売する商品の買い付けを行うバイヤー、スタイリスト……と、ファッション業界を渡り歩いてきた女性だ。

大原真樹さん
ファティマ モロッコ代表 ディレクター。1964年、東京都生まれ。36歳で初めて行ったモロッコへの渡航は、今では120回を超える。『世界はほしいモノにあふれてる』(NHK総合)に出演、女性の新しい働き方や仕事の作り方が反響を呼んだ。著書に『女は好きなことを仕事にする』(大和書房)


 大原さんは、27歳で運命を大きく変えたモロッコ雑貨と出合う。アパレル会社の販売員として働いていたときだった。

 幾何学模様があしらわれた色とりどりのラグや絨毯(じゅうたん)、レリーフの入ったガラスで作られたエキゾチックなランプ、形がかわいらしい皮製のバブーシュ(モロッコのスリッパ)。当時はまだ、遠く離れたアフリカの地・モロッコの雑貨を目にする機会が少なかった時代。こうしたモロッコ雑貨は大原さんの胸をときめかせた。

 「色彩豊かで美しく、なんてかわいいのだろう。この雑貨が売られているモロッコという国を訪れてみたい。今は時間もお金もないけれど、いつか必ず――」

 それから15年後の42歳で大原さんはモロッコ雑貨のオリジナルブランド「ファティマ モロッコ」を立ち上げ、今年で17年目になる。「60代、70代になってもファティマ モロッコの運営を続けたい」と話す大原さん。自分が好きなことで「60歳を過ぎても働き続けられる」ために、どのようなプロセスを経て、どんな壁を乗り越えてきたのか。その詳細を語ってもらった。

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