- (1)震災で鬱状態に 働き方見直し広告会社辞め弁当屋開業
- (2)42歳キャリア捨てモロッコ雑貨ブランド設立、人気店へ ←今回はココ
- (3)厳しい60代避けるために40代までに磨くべき3つの力
「人生100年時代」と言われて久しい一方で、少子高齢化による年金の給付水準の引き下げなど、老後の経済的な不安は増すばかり。定年後も働く未来が選択肢の一つになりつつある今、「60歳を過ぎても自分らしく働き続ける」ために、私たちは何をしておくべきか。モロッコ雑貨のオリジナルブランド「ファティマ モロッコ」を42歳で立ち上げ、好きなことで働き続けるキャリアの舵を切った大原真樹さんに、「長く働き続けるために、20代、30代の今からできること」を聞いた。
常に「好き」を優先に生きてきた
東京・表参道の一角に、色とりどりのモロッコ雑貨が所狭しと並べられた専門店「ファティマ モロッコ」がある。代表でディレクターの大原真樹さんは、高校卒業後、アパレル会社での販売員、セレクトショップで販売する商品の買い付けを行うバイヤー、スタイリスト……と、ファッション業界を渡り歩いてきた女性だ。
大原さんは、27歳で運命を大きく変えたモロッコ雑貨と出合う。アパレル会社の販売員として働いていたときだった。
幾何学模様があしらわれた色とりどりのラグや絨毯(じゅうたん)、レリーフの入ったガラスで作られたエキゾチックなランプ、形がかわいらしい皮製のバブーシュ(モロッコのスリッパ)。当時はまだ、遠く離れたアフリカの地・モロッコの雑貨を目にする機会が少なかった時代。こうしたモロッコ雑貨は大原さんの胸をときめかせた。
「色彩豊かで美しく、なんてかわいいのだろう。この雑貨が売られているモロッコという国を訪れてみたい。今は時間もお金もないけれど、いつか必ず――」
それから15年後の42歳で大原さんはモロッコ雑貨のオリジナルブランド「ファティマ モロッコ」を立ち上げ、今年で17年目になる。「60代、70代になってもファティマ モロッコの運営を続けたい」と話す大原さん。自分が好きなことで「60歳を過ぎても働き続けられる」ために、どのようなプロセスを経て、どんな壁を乗り越えてきたのか。その詳細を語ってもらった。