人生100年時代と言われるなか、定年後も自分らしく働き続けたいと考える人は増えています。長く充実したキャリア人生を送るには30代、40代からの準備が不可欠。先輩や専門家から長く働き続けるための知恵やコツを聞きました。

20代、30代からの「心がけ」次第で未来は変わる

 「人生100年時代」といわれる昨今、企業の定年の引き上げなど、60歳を過ぎても働き続けることが珍しくなくなってきた。2020年には年金の受給開始年齢が原則として65歳になり、現在20~30代の若手ビジネスパーソンも「いくつになっても働き続けるにはどうすればいいか」を考える人が増えている。

 駒澤大学経済学部准教授、経済学者の井上智洋さんは「今の時代、75歳くらいまで働くイメージを持っていないと、落ち着いた老後が送れなくなるかもしれません」と話す。

 「例えば、米国などでは若いうちにがむしゃらに働いて資産を蓄え、40代で悠々自適に暮らしている人もいます。しかし、こうした人は金融業界で成功した一部の人がほとんどで、一般的な会社員、特に日本では同じようにしたいと思っても難しいでしょう。そうなると人生の4分の3は働いて、経済的な基盤を強固にしておかないと、将来自分の望む生活の質を維持できないかもしれません。さらに、近年では企業における従来の終身雇用制度が崩れつつあり、勤続年数と賃金は比例しなくなってきている。さらに、上場企業でさえも40代、50代の正社員の早期退職を募るなど、大企業の正社員=安定は望めなくなりました」

 さらに「人生における生産性のピークは40代、それ以降は下がる一方」と、井上さんは厳しい話をするが、20代、30代からの「心がけ」次第で未来は変わると言う。