どんなパートナーと人生を歩むかによって、私たちのキャリアの歩み方も変わる。そこで、各界で活躍する人に、パートナー選びの視点、関係構築のためのテクニックなどを聞きました。キャリアを強くできるパートナーシップとは?

コロナ禍でアパレル業界が苦境といわれるなか、売り上げ(2020年度)を前年の4倍に伸ばしたのが、オアシススタイルウェアのスーツに見える作業着「ワークウェアスーツ」だ。代表の中村有沙さんは、ブランドの立ち上げとほぼ同時期の18年、現在の夫と結婚した。その躍進の基盤となった、パートナーシップの形について聞いた。

28歳で結婚を考えた相手と破局

 「いずれは子どもを産みたいと考えていたので、理想的な出産時期から逆算すると、30歳前後で結婚できたらいいなとぼんやりイメージしていました。学生時代から数年間付き合っていた彼氏がいたので、このまま結婚するんだろうなって」

 20代前半で思い描いていたそのプランは、突然崩れた。両親にも紹介していた相手だったが、関係がうまくいかなくなり、中村さんが28歳のころ、別れることに。久しぶりに「恋愛市場」に放り出されてしまった、どうしよう――。戸惑いと同時に頭をよぎったのは、「期限を切って覚悟を決めないと、パートナー探しなんてズルズル後回しになってしまうだろう」ということだった。新卒で入社した会社での仕事は充実していたし、休日も趣味や友達との付き合いで忙しく過ごしていたからだ。

 「仲のいい女友達と『お互いに決めた期間内に彼氏ができなかったら、ペナルティーとして5万円をどこかに寄付しよう』と本気で約束しました(笑)。焦っていたというよりは、ワイワイ楽しんでいた感じ。でも『5万円』という高額に設定したのは、それくらいの覚悟を決めて取り組んでいかないと、働きながらの婚活は楽じゃないと思ったからです」

中村有沙/オアシススタイルウェア代表
中村有沙/オアシススタイルウェア代表
2011年東京大学経済学部卒業後、水道工事業を手掛けるオアシスソリューションに営業職として新卒で入社。入社6年目、若手の採用課題解決のために、作業着のリニューアルプロジェクトを発足。社長とともに約2年かけて「スーツに見える作業着」を生地から独自開発し、事業化。17年12月にオアシススタイルウェアを設立し、代表に就任。21年時点の導入企業数は1500社を超える。

 友人の紹介、週1回ペースの合コン、結婚情報サービスを通じたお見合い……。仕事の「プロジェクト」に取り組むような感覚で、出会いの場を増やしていった。ただ、やみくもに会っていたわけではない。中村さんがユニークなのは、さまざまな男性とコミュニケーションをする中で「自分のありたい姿」に合うパートナーの理想像を具体化し、約100項目の条件リストに落とし込んだことだ。

 現在のパートナーは、自己採点でそのほぼすべての項目をクリアしたため、迷いなく結婚の話を進めることができたという。本記事では、そんな2人の軌跡と、互いに力を発揮し合えるよいパートナーシップを構築する秘訣を詳しく紹介していく。

「100項目リスト」がパートナー探しに有効な理由とは?
「100項目リスト」がパートナー探しに有効な理由とは?