デジタル全盛の時代でも、1年を振り返ったり、アイデアを膨らませたり、考えを整理したりと書く作業に重きを置いている人は少なくない。そこで効果的なノートの使い方を最前線で活躍している人たちに聞きました。

フジテレビのアナウンサーとして10年目を迎えた三田友梨佳さん。ニュースの本質を突いたコメントに定評があり、現在は平日深夜のニュース番組『FNN Live News α』、日曜夜の情報番組『Mr.サンデー』のキャスターとして活躍しています。そんな三田さんのコメント力を支えているのは、5年間、毎日欠かさず書いているノートだといいます。「三田メモ」と呼ばれるこのノートには、ニュースを伝える側である三田さんの思いと工夫が詰まっていました。

生放送で発言ゼロ。「自分を変える」が三田メモの原点

 取材当日、両手に抱えきれないほどのノートを携え、フジテレビの会議室に現れた三田友梨佳さん。数時間後にニュース番組の生放送を控える中、笑顔で取材に応じてくれました。

 「今日もこの後、番組で扱う情報を整理してから本番に臨みます」と、見せてくれたのは、ニュースに関する情報やコメントがぎっしり書かれたA5サイズのリングノート。1~2ページにつき、1つのトピックスがコンパクトにまとまっており、サッと目を通すだけでもポイントが分かるようになっています。

 「私にとってこのノートは、日記のようなもの。オンエア前の空き時間に、番組で取り上げるニュースの基本情報や最新情報をまとめています。疑問に思った点や感じたことを自由に書き込んだり、新聞などの切り抜きを貼ったりしながら、自分の思考を整理するためにノートを活用しています」

「子どもの頃は日記が苦手でしたが、今は毎日書いています。もう数十冊になりました」(三田さん)
「子どもの頃は日記が苦手でしたが、今は毎日書いています。もう数十冊になりました」(三田さん)

 周囲から「三田メモ」と呼ばれているこのノートは、三田さんが入社5年目のときに直面した、ある出来事がきっかけで書き始めたといいます。

 「平日午後の情報番組『直撃LIVE グッディ!』(以下、グッディ!、2020年9月末終了)を担当することになったとき、プロデューサーから『三田の自分なりの意見を発信してほしい』と言われたんです。ところが、当時2時間の生放送の中で1回も発言できないことが続き、無力感にさいなまれました。『このままじゃいけない』と強く感じ、現状を打破するためには、扱うニュースの基礎知識や情報を徹底的に調べて頭に入れることが必要だと考えました」

次ページで「三田メモ」のポイントを解説!
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