成果が上がらなかった新入社員時代

 「大学卒業後、人材紹介会社の営業職として働いていました。朝早くから出社して毎日遅くまで働いているのになかなか成果が上がらない。入社直後は当時15人いた同期のなかで大抵下から3番以内でした。朝早くから出社して、夕食後もオフィスに戻って作業を続けるなど、ほとんど休みもせずに仕事をしているはずなのに結果が出ないのです。

 そしてある日、いつも通り散々だった営業電話の後に沈んだ気分で受話器を置きつつ、手元に目線を向けたときハタと気付きました。机の上が散らかっていたんです。パソコンのキーボードの横には古い営業先リストの束、書きかけの契約書、飲みかけの紅茶が入ったコップには乾燥した使用済みのティーバッグ……。学生時代から片づけコンサルタントを仕事としていたので片づけスキルには絶対の自信があったつもりが、このありさまでした。乱れるデスクを目の当たりにして、『これでは仕事の成果が上がるはずがない』と思ったんです

 翌日、近藤さんはこれまで培った片づけの知識とテクニックを使ってデスク周りを整理したそう。デスクの上にあるのはラップトップのパソコンとキーボード、マウス、電話だけという状況になった。

 「仕事をする環境を片づけたことで、劇的に成果が上がった……とまではいきませんでしたが、確実によい効果がありました。まずはデスクに向かうときの気分が良くなりました。ほしい資料がすぐに見つかるし、外出の準備や、帰ってきてから次のタスクに向かうまでの時間も短縮できて、少しずつ、仕事にときめきを感じることができるようになりました」と振り返る。

ライス大学のビジネススクール教授のスコット・ソネンシェインさんと共に『Joy at Work』を執筆し、ワークスペースの片づけノウハウを紹介
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