コロナ禍に大切な「ときめく働き方」とは?

 今回、近藤さんはさまざまな角度から、働き方の改善を目指す研究をするライス大学のビジネススクール教授のスコット・ソネンシェインさんと共に『Joy at Work』を執筆し、ワークスペースの片づけノウハウを紹介している。本書には片づけと仕事にまつわる研究データも紹介されている。あるデータによると、会社に勤める人がものを探すことにかけている時間は、1年間で1週間分に相当。また、自分の周りが散らかった状態は、生産性の低下や、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの増加など、精神面にも悪影響を及ぼすことも分かっているそう。散らかった環境で過ごすことは脳に負担をかけるため、仕事のタスクやコミュニケーションに対する集中力も低下させるそうだ。

 「デスクを片づけることによって、仕事環境の見た目が改善して気持ちが良くなるだけでなく、時間効率がアップする、思考がはっきりするという効果もあります」と近藤さん。

 また、仕事における片づけは、自身の働き方を見直すきっかけにもなるという。「今回のコロナは、世界中の人が、自分にとって本当に大切なものは何かを考えるきっかけになったと思います。片づけにおいて私がいつもお伝えしているのが、自分にとってときめく生き方を選択してほしいということ。そのヒントとなるのが、家の中はもちろん、ふだん働いている場所の片づけです。片づけを通して、自分と対話をし、本当に求めていることが明確になるはずです。そこで自分自身がときめく働き方ができているかどうか、見直していくことが大切です

 とはいえ、「ときめく働き方」とは何か具体的にイメージするのは難しいこともあると近藤さんは言う。「ときめく働き方とはつまり、自分にとって心地いい働き方です。自分はどういうモノに囲まれて仕事がしたいかを考え直すことで、自然と働き方を見直すことができるのです」

 コロナ禍で、在宅勤務をする際のワークスペースをどう整えていくべきか悩んでいる人も多い。後編の「こんまり流ときめく働き方になるワークスペースの片づけ」では、働く環境に悩む人が今すぐ試せる、こんまり流「ワークスペースの片づけ」のメソッドをお伝えする。

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取材・文/川辺美希 写真/(C)KonMari Media, Inc.

近藤麻理恵
片づけコンサルタント
片づけコンサルタント。著書『人生がときめく片づけの魔法 改訂版』(河出書房新社)が世界的大ベストセラーに。現在は「こんまり流片づけコンサルタント」を育成し、日本を含め世界30カ国以上で活躍中。近著にときめく働き方を手に入れるためのノウハウが書かれた『Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる』(河出書房新社)がある