社会に出て、母との関係に違和感を抱くようになった人は少なくない。一方で、自分の価値観が母の影響を受けているという人は8割以上も。専門家や経験者の声をもとに「doors世代のこれからの母との関係」を探っていく。

毒親ではない、仲が悪いわけではないけれど、「母と話すと、イラッとする」「母との関係が時々、しんどい」という人は、意外と多いのではないだろうか。近過ぎるゆえに、ぶつかりがちな母と娘。でもどうして、ぶつかってしまうのだろうか。今までなんとなくめんどくさくて、向き合ってこなかった母と娘の価値観の違いについて、メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子さんに聞いた。

8割が、母との関係で悩んだことがある

 日経doors編集部が行ったアンケート(2020年11月13日~12月11日に実施/回答数104)では、「自分で決めた就職先に文句を言われた」「交際相手のスペックを気にする」「仕事の弱音を吐くと、『専業主婦になれば』と言ってくる」といった回答が寄せられた。

 「社会に出てから、母親と意見がぶつかったり、関係がうまくいかなくなったりした経験はありますか?」の問いには、「ある」「どちらかというとある」と答えた人は、約6割も。さらに、「母親との関係で悩んだことがある人は、「過去に悩んだことがある」と答えた人も含めて、80.7%もいた。

母と娘は分かり合えないのが当たり前

 メンタルケア・コンサルタントの大美賀直子さんは、「実は、母と娘が分かり合えないのは、当たり前」だという。

 「doors世代は20〜30代、母親世代は50代〜60代前半がメイン層だとすると、そこには、あまりにも大きな世代間ギャップがあります。

 母世代が生きた昭和時代と、娘世代が生きた平成、そして現在の令和時代。仕事観も、結婚観も、ジェンダー観も、『一般的にいいとされてきた価値観』が何もかも違うのです。そもそも、理解し合うのは難しいんですよ」

 「一言で言うと、セーラームーン世代と松田聖子世代の差」と大美賀さんは言うが、いったい母と娘世代には、どんな時代背景があり、どうやってその差が生まれたのだろうか。まずは、そのギャップを読み解いてみよう。