親世代の価値観がインストールされてしまい、なかなか一歩踏み出せない、親の顔色を見てしまい自分の本音とは違う選択肢を取ってしまう……こうした行動パターンがキャリアや結婚に影響を及ぼしている可能性があります。専門家に聞いた親との正しい距離の取り方、実際に親の呪縛から抜け出した実例をご紹介します。

母親と何でも話せる関係の人もいれば、仕事、恋愛、結婚など生き方への過干渉でうんざりしてしまう人もいます。「いつも母親と一緒にいるけれどもいいのだろうか?」「何かを決めるとき、いつも母親の顔が浮かぶ」という人は、自分と母親との適切な距離感を見直す必要があるかもしれません。母と娘の関係に関する講演や執筆活動で活躍中のメンタルケア・コンサルタント、大美賀直子さんに話を聞きました。

自分は母親からどれくらい影響を受けているかを知る

 転職やキャリアアップ、昇進、結婚など、人生の岐路に立たされたとき、真っ先にお母さんの顔が浮かんでしまう人も少なくないのではないでしょうか。

 自分の希望があっても、「母親の望みにかなっているかどうか」「母親が喜んでくれるか」を無意識に考えている場合もありますし、反対に、母親の過度な干渉にうんざりすることもあります。

 母娘関係をテーマにカウンセリングや講演を行っているメンタルケア・コンサルタントの大美賀直子さんは「娘にとって20代、30代は特に、母娘関係の難しさを実感しやすい」と話します。

 「カウンセリングで多く寄せられる悩みは『母親から、一方的な価値観を押し付けられる』『母親が子離れしてくれない、娘に執着している』『頼れる相談相手と思えない』などがあります。特に女性としての生き方や結婚、育児について『私の言う通りにすれば間違いない』といった母親世代の価値観で意見を言われる、自分が若い頃にできなかったことをかなえてほしいといった期待を掛けられることが多いようです。

 また、母親に相談しても、母親を不安にさせるだけで役に立つ答えが返ってこないなど、頼りにならないから話をしたくないという人も少なくありません。他には、『自分には娘(母親)がいないとだめ』といった心理学用語でいう『共依存』のケースもあります。表面的には仲の良い円満な親子関係かもしれません。でも、もし自分で疑問を持つようなら関係性を見直したほうがいいですね」

 こうした母親の立ち居振る舞いに悩んでいる人も、よく一緒に出掛けたり、何でも話したりしている人も、少しでも気になることがあれば定期的に「自分と母親の関係は適切かどうか」を考えたほうがいいと大美賀さんは言います。

 現在、自分はどれくらい母親の影響を受けているかは、大美賀さんが作成した下記のチェックシートで確認してみましょう。

実際のカウンセリングで使用しているチェックシートを大美賀さんにdoors読者向けにアレンジしてもらいました。当てはまる項目に「〇」を入れましょう。※診断結果は2ページ以降
実際のカウンセリングで使用しているチェックシートを大美賀さんにdoors読者向けにアレンジしてもらいました。当てはまる項目に「〇」を入れましょう。※診断結果は2ページ以降