親世代の価値観がインストールされてしまい、なかなか一歩踏み出せない、親の顔色を見てしまい自分の本音とは違う選択肢を取ってしまう……こうした行動パターンがキャリアや結婚に影響を及ぼしている可能性があります。専門家に聞いた親との正しい距離の取り方、実際に親の呪縛から抜け出した実例をご紹介します。

就職や転職、昇進など、キャリアを積み重ねていきたいのに、母親が意見を言ってくる。やりたいことや好きな仕事について否定的な発言をされる……など、母親にキャリアを邪魔されていると感じたら? 無意識に母親から受けている影響や、母親の言葉でキャリアに迷ったときの対処法、マインドの持ち方についてミートキャリアのキャリアサポーターで産業カウンセラーの管井裕歌さんに話を聞きました。

キャリアにおける母親の影響 4つのタイプ

 「就職や転職、仕事と子育ての両立など、自身のキャリアを決めるときに、何かしら母親の影響を受けていたり、母親の気持ちを考えたりしている人は少なくありません。母親が応援してくれるのであれば、一歩踏み出す勇気が持てます。しかし、母親の影響を受けて自分が職業や人生観などにバイアスを持っていると、立ち止まってしまう人が多いと感じます」

 こう話すのは、オンラインキャリア相談サービスを提供するミートキャリアのキャリアサポーターで産業カウンセラーの管井裕歌さん。「キャリアにおける母親(や父親)の影響は、大きく4タイプに分けられます」と言います。

 「まず、幼少時の習い事や進学など、つねに母親に導かれた人生を生きる『レールタイプ』、次に無意識に母親の望み通りの生き方を意識してしまう『優等生タイプ』があります。レールタイプの人は、実際に母親がよいという会社で働き始めたものの、『何か違う、こんなはずじゃなかった』と悩むことが多いですね。

 優等生タイプの人は、自ら母親の望むレールの上に乗ろうとしてしまう傾向があります。相談を受けていて多いと感じるのは、『本当はベンチャー企業に行きたいけれども、母親が心配する』といった内容。その反対もあります。この2つのタイプの人は、キャリアカウンセリングを受けたり、誰かに話したりすることで、自分の本心に気づく場合が多いですね。母親が娘の意見を尊重し、励ましてくれる『応援タイプ』や特に意見を言ってこない『放任タイプ』の関係の人は、キャリアにおける母娘関係では、良好な関係を築かれている方が多いです」

 では、転職や昇進、働き方などで母親から意見を押し付けられたりした場合、どうすればいいのでしょうか? キャリアと母娘関係で悩んだときの対策を管井さんが解説します。

(1)親に導かれた人生を生きるタイプ(レールタイプ)/(2)無意識のうちに、親はこう望んでいるのではないか?と意識しているタイプ(優等生タイプ)/(3)親は自分の意見を尊重してくれる(応援タイプ)/(4)親からは特に意見されることはない(放任タイプ)
<親の意見が気になり、迷いが生じたときの対策>○○する/自分の○○を見つめる/自分は○○を深掘りする