「いつか子どもは欲しいけれども、仕事や生活がどのように変わるのか不安」「体にどんな変化が起こるのか?」「お金はどうためればいいの?」といった、出産前後にまつわる不安はたくさんあります。そこで、東京成徳大学応用心理学部教授の田村節子さんに働きながら3人の子育てをした自身の経験を交えながら、現代女性の「産む×働く」についてアドバイスをしてもらいました。

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産んだらどうなる?キャリアと育児をかなえるには?
産んだらどうなる?キャリアと育児をかなえるには?

昔に比べ子育てしやすい社会になっている

 「一昔前に比べ、今は働く女性にとってだいぶ子育てしやすい環境になってきたと思います」と話すのは、東京成徳大学応用心理学部教授の田村節子さん。田村さんは、その理由を次のように話します。

 「まず、以前に比べ、働きながら子育てをすることに対し、周囲の理解が進んでいると感じます。少子化の現実もあり、子どもの存在は社会的に大歓迎されていると言ってもいいでしょう。

 まだ都市部だけかもしれませんが、夫が積極的に家事をしたり、育児のために仕事を調整したりすることが当たり前になりつつあります。『子育ては母親がするもの』といった社会のバイアスが薄くなり、『子育ては夫婦でするもの』という意識に少しずつ変わってきたと思います」

 時代の変遷とともに、社会の価値観が変化し、ワーキングマザーも子育てしやすくなってきた一方で、昔と比べ、デメリットとなる点もあるそうです。

 「例えば、近所の助け合い。昔は、親が手を離せないときに、近所の人が預かったり、遊んであげたりしていたものです。今は社宅などの集合住宅も減っていますし、核家族化が進んでいるため、地域のコミュニティの関係性が薄い。困ったときに、日ごろからコミュニケーションを取っていない人に気軽に手助けを頼むのは難しいでしょう。

 特に、自分たちが病気になったときは、子どもを見てくれる人がいないため、夫婦のどちらかが仕事を休まなければならなくなるなど、困っている人も少なくありません。自分たちの親や親戚が近くにいて、すぐにサポートしてくれる環境の夫婦はいいのですが、そうでない場合、病気などで子どもの世話ができないときは、どうすればいいのかといった課題があります。そのため、妊娠・出産をする前に、身近に頼れる人を探したり、民間のサービスを検討したりしておくといいですね。今は公的サービスもたくさんあるので、把握しておきましょう」

 さらに田村さんは、働きながらの育児に備えて環境を整えておく必要もあると言います。

田村節子さんが考える「働く×キャリア」をかなえるためにやっておきたいこと
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