仕事は続けていきたいけれど出産はどうすればいい? 20代で母になるとは? 30~40代の不妊治療とは? さまざまな事例や年代別にいつか産むためにすべきこと、不妊治療のリアルを紹介します。

「子どもは2人以上欲しい」「今はキャリアを優先したいけれど、いつかは産みたい」「子どもはいたら幸せ。でも、いない幸せだってある」「自分が出産するなんてピンとこない」…。出産に対する考え方は人それぞれ。出会いや状況によって気持ちが変わることもありますし、誰でも授かりたいときすぐに妊娠できるとは限りません。「産みどき」に正解はないからこそ、妊娠・出産に関する正しい知識をしっかりと押さえ、その時々で自分が納得できる選択肢を選び取れるように今から準備をしておきたいもの。

今回は、30代で2度の出産を経験している産婦人科医の宋美玄さんに、年代別「いつか産みたい」働く女性が押さえておきたい基礎知識、「産まない」選択をした場合の体への影響、コロナ時代の妊娠と出産について、話を聞きました。

まず押さえるべきは、パートナー選び

 産婦人科医・医学博士としてのキャリアを築きながら、35歳で第1子、39歳で第2子の出産を経験している宋美玄さん。キャリアと産みどきの考え方について、次のように話します。

 「これまでは、『先にキャリアを積んでから産むか』『早めに産んで後からキャリアを積むか』という選択肢の中で、どの時期が一番いいのか。ベストな産みどきは30代前半まで。少なくとも30代半ばまでには子づくりを始めましょうという趣旨の話が多かったのですが、産みどきの概念は結局、産んだら女性が全部を一人で抱え込んでやらなければいけない前提の話。パートナーがちゃんと家事・育児を分担してくれたら、産む年齢にかかわらず、キャリアに大きな影響を与えることなく仕事に復帰することができます」

 「働く×産む」ライフプランを考える上での最大のポイントは、当事者として子育てにしっかり関わってくれるパートナーを見つけることと宋さん。お互いが持っている理想の家族像や仕事観について、あらかじめ話し合っておくことが大事です。

 「体の面では早く産んだほうが有利ですが、『産むタイミングが早いほどいい』とは思いません。例えば、私の場合は20代の研修医時代に出産するのはいろいろな意味で厳しいと感じ、専門医の資格を取得した後、30~35歳での妊娠を計画していました。海外留学をしたために、実際の妊娠・出産の時期は予定から少し遅れて35~39歳に。その後独立し、41歳で婦人科クリニックを開業しました。今となっては、経済的にも精神的にも余裕がある35歳のタイミングで出産してよかったと思っています」

 「『キャリアは後から取り返せる』という人もいますが、マミートラックという言葉があるように、ワンオペのような状態でキャリアのブランクや仕事をセーブする期間が長くなるほど、完全に取り返すことは現実的に難しい状況があります。出産もキャリアも注力するタイミングは、その人次第。どんなパートナーを選ぶかによって、産みどきの幅や、『働く×産む』の難易度は変わります。年収や職業でパートナーを選ぶのではなく、未来のキャリアを見据えて名よりも実を取ってもらいたいですね」

 次のページから、年代別・いつかは産みたい人が気を付けておくべきことを紹介していきます。

<全年齢共通 気を付けるべきこと>□「働く×産む」自由度は、パートナー選びで大きく変わる/□パートナーと家庭観や仕事観について話し合っておく/□加齢によるリスクは理解しつつ、○○し過ぎない/□卵子凍結は、妊娠を○○するものではないことを知る<20代が気を付けるべきこと>□産みたいときの妊活に備えて、○○を整える/□不妊の原因となる○○予防のため、○○を活用/□ピルが合わない場合、○○や○○という選択肢も<30代が気を付けるべきこと>□パートナーがいて子どもが欲しい30代前半は、妊活を始めたい時期/□パートナーがまだいない35歳前後は、ピルなどを活用。○○も手/□35歳までは○○、35~39歳は○○、自然妊娠を試して授からなければ不妊治療へ