「錬金術」はいい宣伝に

大倉 当初は戸惑い、お客さまからも「利用されているよ」という心配の声をいただきました。すぐに店舗の担当者からも「制度の抜け穴をついています。やめる方向でいいですよね」と。そこで席だけの予約を不可にして、予約サイト経由では席だけの予約を1人1635円以上しか予約出来ないようにしました。迅速に対応したことで、結果的にはお客さまからポジティブな反応が多かったので、いい宣伝になったのかなと。ここでも基本の「正しい経営」を意識しました。

―― コロナに翻弄されつつも、新しい業態の開発に時間を割いたそうですね。

大倉 はい。テークアウトやデリバリーしやすい業態を考えています。使用食材は焼き鳥と同じ鶏肉、大きく違うのは非アルコール業態だということですね。

テークアウトやデリバリーなど新しい業態をスタートさせることを考えたコロナ禍だったと振り返る大倉社長
テークアウトやデリバリーなど新しい業態をスタートさせることを考えたコロナ禍だったと振り返る大倉社長

第二の創業期を迎えた

大倉 実は以前から構想としてはあったのですが、まだ先だと考えていました。しかし、将来的にコロナのような感染症リスクはますます高くなるし、夜の居酒屋だけで経営していくのはリスクが大きい。やはりリスクヘッジという意味では、「非アルコール業態」というもう1本の業態が経営を支える形にしていこうと。もうこれは、本当に第2の創業期だと思っています。これからは新業態を経営の柱にし、海外進出も見据えています。

―― 今は普通に海外旅行をするのも難しい時期ですが、海外進出を考えているのですか。

大倉 今は世界的なパンデミックが起きていますが、これが収まれば海外展開を考えないと、日本市場だけでは飽和し、失速していきます。鳥貴族、新業態の両方で海外進出を考えています。

―― 2020年はそうしたコンセプトをじっくり練ることができましたか。

大倉 そうですね。商品開発や店舗開発をはじめられました。希望としては創業記念日である5月1日に新業態のオープンを合わせたいですね。

―― ただし、鳥貴族の2020年7月期は7億円の最終赤字となり、苦しい1年だったと思います。