- (1)3時のヒロイン福田麻貴 自信のない自分となりたい自分
- (2)ゆりやんレトリィバァ36kg減 もう人目は気にしない
- (3)キンタロー。極限まで考えすぎる自分と決別し始めたこと
- (4)鳥貴族・大倉社長 夢を描かないと生きていけない
- (5)鳥貴族・大倉忠司社長 コロナ禍で会社が強くなった
- (6)丸山礼 不安なときは「仕事で120%出し切る」
- (7)はあちゅう&秋元里奈の「やめたこと、はじめたこと」
- (8)景井ひな&たかまつななの「やめたこと、はじめたこと」
- (9)菓子作り動画で人気のプロレスラー世志琥「まず挑戦」
- (10)200万人登録宅トレ竹脇まりな 生きがい見つけた1年
- (11)岸田奈美 2020年は心が求めていたものが分かった ←今回はココ
- (12)岸田奈美 孤独に向き合い、自分を愛す方法を追求する
- (13)小巻亜矢 書き出して自分を責める気持ち手放した
- (14)豊田真由子 絶望乗り越え「死のうと思うのをやめた」
- (15)全裸監督脚本山田佳奈 ジェンダー観に衝撃を受けた
- (16)中村有沙 「時間」の断捨離で「今」に全力投球
- (17)160万人登録のエミリン かわいいと面白いを両立する
- (18)中野信子 不安を活用して効率的に学び、自分を磨く
昨年秋、初の著書『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(小学館)を出版した岸田奈美さん。かつてはユニバーサルデザインの会社、ミライロに勤める会社員だったが、noteに掲載したエッセーが人気となり、作家として独立。10月には、経済誌「Forbes」が選出する、世界を変える30歳未満のイノベーターのアワード「30 UNDER 30 JAPAN」を受賞した。大活躍の岸田さんに2020年を振り返ってもらいつつ、多忙な中で始めたこととやめたこと、今後の展望などを伺いました。

自分の幸せがどういうものか分からなかった
日経doors編集部(以下、――) ――昨年9月に自伝的エッセー『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』を出版し、作家デビューをされましたね。このエッセーには車椅子ユーザーの母とダウン症の弟、急逝した起業家の父……家族との笑えて泣けるエピソードが綴られています。Forbesの次世代を担うイノベーターを選出する「30 UNDER 30 JAPAN」にも選ばれるなど、大活躍の1年でした。振り返っていかがでしたか?
岸田奈美さん(以下、敬称略) 私にとってすごく思い出深い1年でした。実は、これまで29年間生きてきて、自分にとっての幸せやうれしい状態がどういうものか、よく分からなかったんです。もちろん大好きな家族がいて、楽しいこともたくさんあったけれど、中学生の時に父が突然亡くなり、その後、心臓病の後遺症で母が車椅子生活になって、弟はダウン症で知的障がいがあって。
本当に自分の力ではどうしようもないことに翻弄されつつ、そこに負けないようにと、流れるプールの縁に必死につかまってもがき続けているような状態だったので、自分のために楽しみを追求する余裕がなかった、というのが正直なところです。
作家としてデビューできたこともうれしかったけれど、なにより幸せだったのは、自分の大切な家族について書いたエッセーが多くの人に愛され、みんなと一緒に家族について考えたり、おしゃべりできたりしたことでした。それがものすごく楽しくて、「私の心が求めていたのはこれだったんだな」と実感したんです。
―― コロナ禍でみんなの心が沈むなか、家族との日常をユーモアあふれる文体で綴った岸田さんのエッセーに、「元気をもらった」「心が温かくなった」という声がたくさん挙がっていました。