激動の2020年、それでも活躍しつづけた人は何をやめて、何を始めていたのか。そして、新たな2021年、どんな目標や抱負を胸に抱いているのか。各界で輝く人にその心中を語ってもらいました。

昨年秋、初の著書『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(小学館)を出版した岸田奈美さん。かつてはユニバーサルデザインの会社、ミライロに勤める会社員だったが、noteに掲載したエッセーが人気となり、作家として独立。10月には、経済誌「Forbes」が選出する、世界を変える30歳未満のイノベーターのアワード「30 UNDER 30 JAPAN[1]」を受賞した。大活躍の岸田さんに2020年を振り返ってもらいつつ、多忙な中で始めたこととやめたこと、今後の展望などを伺いました。

日経doors編集部(以下、――) 前編では2020年を振り返って感じたこと、多くの人に読まれたエッセーで伝えたかったことなどを伺いました。2021年は、新たなチャレンジの年とのこと。どんなことをされるのか具体的に教えてください。

自分自身を追求するために書きたい

岸田 昨年1年間で私がこだわってきたのは、多くの人に楽しんでもらえる記事を意識して書くことでした。でも、いろいろな人たちに読んでもらおうとするほど、無難な表現や普遍的な感情ばかりを扱うようになってしまい、それだと自分の中に新しい発見がなくなってしまうと思ったんですね。ですから、今年は、たとえバズらなくても誰に褒められなくてもいいから、自分自身を追求するために書いてみたいんです。自分の中に渦巻いている言葉にできないモヤモヤとした感情を頑張って表現してみることも、成長し続けるためには必要な作業だと思っています。

 私が目指す究極の表現者は、実はうちの弟かも。

―― どういうことですか?