朝食ではたんぱく質や脂肪も取ろう

 ここで気を付けたいのは、「栄養バランスの取れた食事」と、「ヘルシー志向の食事」は違うということ。サラダやグリーンスムージーなど野菜や果物ばかり口にするのではなく、肉・魚などのたんぱく質、適切な脂肪も取ることが重要です。

摂取物と無月経経験の関係
摂取物と無月経経験の関係
無月経の経験がある人は、無月経の経験のない人に比べて、たんぱく質や脂肪(豚肉・牛肉/揚げ物/炒め物/オメガ6脂肪酸)の摂取が少なく、サラダ(レタス・キャベツ)やおやつ(和菓子)の摂取が多い数値となりました(単位はグラム、亜鉛のみミリグラム) 出典/2015年度まるのうち保健室報告書―働く女性白書― Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査 Copyright 2016 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ All Rights Reserved.

 実際に、まるのうち保健室の調査結果を見てみると、野菜の摂取量が多いものの、肉類や油脂類の摂取量が少ない人ほど、無月経の経験があることが分かっています。極端なダイエットで痩せてしまい、体脂肪率が低い女性も要注意。体脂肪率は17%を下回ると月経不順や無月経のリスクが高まり、30%を超えると排卵障害などの原因になるため、20%台を維持することをまるのうち保健室では推奨しています。

 「『脂肪』『油』と聞くと、それだけで拒否反応を起こす人もいるかもしれませんが、実は女性ホルモンの材料となるのはコレステロールという脂質なんです。脂質には肌の乾燥を防ぎ、脳の働きを保つ役割もあります。特に、不飽和脂肪酸のうち、魚に多いオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)は健康効果・美容効果の高い油ですから、上手に取り入れましょう」(細川さん)

 でも、生クリームや肉類の脂身はさすがに取らないほうがいいですよね、細川さん。

 「生クリームや肉類の脂身に多い飽和脂肪酸は、取り過ぎると生活習慣病の原因になるので、程よい量の摂取が必要です。サラダオイルのオメガ6脂肪酸(リノール酸)も取り過ぎには注意ですが、体内で合成されない不飽和脂肪酸なので、適量の摂取が必要です」(細川さん)

 取り過ぎも問題ですが、いわゆる「油抜き」の食生活はリスクが高いと覚えておきましょう!

冷えやストレスの解消には、入浴が効果的

 また、生理のトラブルには朝食をしっかり取ることに加え、入浴で体を温めるのも効果的です。生理痛の要因として、血行不良により骨盤内がうっ血している可能性があるそうです(※)。入浴によりこれを和らげることで生理痛が緩和される効果が期待できます(頭痛は悪化する可能性があります)。

※出典/池ノ上克ほか編,NEWエッセンシャル産科学・婦人科学 第3版.医歯薬出版 2015

入浴でヒートショックプロテインを増やして代謝もアップ (C)PIXTA
入浴でヒートショックプロテインを増やして代謝もアップ (C)PIXTA

 入浴はヒートショックプロテインという体を修復するたんぱく質の分泌を促す効果があるともいわれています。ヒートショックプロテインは日中のさまざまなストレスで傷ついた細胞を修復してくれるうえ、アンチエイジングに効果的という、うれしいメリットも。一度入浴すれば2日間は効果が持続するので、週に3~4回はシャワーではなく、湯船に入るようにしましょう。

 「ユニットバスで入浴が難しい人は、ジムやヨガスタジオのジャグジーやサウナを利用するとよいですね。自宅でお風呂に入る人は、温泉成分の入った無着色の入浴剤やニガリを使うのがおすすめです。ミネラル分が皮膚から吸収され、筋肉のこわばり、肩こり、腰痛が緩和されますよ」(細川さん)

 日本女性は冷えに関連する遺伝子を持っていることが分かっていて、特に20~30代の女性の平均体温は、日本人の平均より4度ほど低い現状があります。昔の日本は朝から鮭定食など、より体温を生むたんぱく質のある朝ごはんをしっかり食べ、味噌汁などで体を温め、銭湯に温泉という入浴文化が愛されてきたことを思うと、昔からの生活の知恵に改めて感心させられます。

 現代は情報過多の時代ですが、「朝食をきちんと食べる」「湯船につかる」といった基本的な生活を見直したいものですね。

聞き手・文/三浦香代子 グラフデータ出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室