究極の健康法は「自分の体」に合う食事を取ること

 また、健康には地域差だけではなく、各家庭によって「家系」ともいうべき個人差も表れます。例えば、妊娠中に摂取すると胎児の健康に役立つ「葉酸」ですが、日本人のうち約16%は遺伝子の働きによって、食事だけでは充足しないそうです。また、一大ブームとなった亜麻仁油やチアシードですが、体内に取り入れたときにDHA・EPAに変換できる量はわずかで、変換できない日本人もいるのだとか。

 「実は植物性食品から取れる取れるαリノレン酸のDHA変換率は魚に比べても20分の1と低く、その上変換できない人も一定層いることが分かっています。DHAを摂取するなら魚を食べるほうが効果的なんですよ。また、女性の不調を整える働きがある大豆イソフラボンも、体内でエクオール(※)がつくられていないと効果が期待できないため、サプリメントで摂取するなどの対処法が必要になります。自分の腸内細菌叢(さいきんそう)が分かる検査キットもありますから、一度、自分の体について深く知る機会を持つことをおすすめします」(細川さん)

※エクオール 大豆イソフラボンをもとに体内で作られる女性ホルモンに似た働きをする物質


 実際に、「まるのうち保健室」でエクオールレベルを調べたところ、エクオールを産生する腸内細菌が「ほとんど活動していない(レベル1)」は26%、「とても少ない/あまり活動していない(レベル2)」32%、「活動している(レベル3)」22%、「十分に活動している(レベル4)」19%、「とてもよく活動している(レベル5)」1%。働く女性のエクオール産生率は4割程度となり、産生率が低いほど「疲れ」「肩凝り」「腰痛」「むくみ」といった不調を感じていました。

エクオールレベル(産生する腸内細菌)
エクオールレベル(産生する腸内細菌)
エクオールを産生するレベルの高い人(レベル3~5)は4割 出典/Copyright 2017 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリ All Rights Reserved.

 「食品に含まれる栄養素や特定の成分が、遺伝子や腸内細菌により、個人によって異なる働きをすることが次々に明らかになっています。これからの時代は、こうした個人差を重んじる『テーラーメード医療』が主流になるでしょう。合わせて健康も、自分の体は世界にたった一つしかなく、家族や友人と同じものを食べても同じ効果が得られるかは分からないため、真剣に自分の体と向き合いたいですね」

 実は奥が深い自分の体。血となり肉となってきた故郷の味を見直しつつ、自分の遺伝子や体質にも目を向けてみたいものです。

文/三浦香代子 写真/PIXTA グラフデータ出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室

 細川さんが代表を務めるラブテリ トーキョー&ニューヨークがワコールと共催で開催する「京都保健室」では、抽選で腸内細菌解析が受けられます。
◆関連リンク http://kyoto-hokenshitsu.com/