【お金をかけたいもの】1.居心地のいい時間のためのお金

 最近、たまにですけど、自分のためのお花を買うようになったんです。

 自宅が仕事場ということもあって、目の前の景色を変えたいと思ったときに花という手段を使うようになりました。お花ってあとに残らないものだから躊躇しがちですけど、要はその場の居心地を良くするための出費なんですよね。

 同じことが家賃にも言えて、以前は神奈川県に住んでいたんですが、都心に出るまでの通勤時間が長く、行って帰ってくるだけでもうクタクタ。でもいま都内に引っ越したことによってイライラがなくなり、家族との衝突も減りました(笑)。

 神奈川より家賃は高いですが、ストレスが軽減されたことによって得られる安らぎの方がよっぽど大切ですね。

 こんな風に、心地よく過ごすための時間や経験のためにお金を使えることが30代になって多くなりました。無駄な時間を使わないことと、捨てたものと得たものって1セット。通勤時間を短縮したことによって心地いい時間を過ごせることも、時間のための投資と考えることができるのではないでしょうか。

【お金をかけたいもの】2.人へのプレゼント

 ちょっとしたお礼を伝えるとき、気持ちを物に託すようなプレゼントの使い方をするようになりました。

 物を贈ることも、人に対するコミュニケーションの一種。以前は“プレゼント=誕生日やクリスマスに贈る特別なもの”と構えていましたが、相手の好みそうなものを、相手の顔が思い浮かんだときに「こんなもの見つけたよ」みたいな感覚で、気張らずあげたらいいと思えるようになりました。

 お花や家賃、プレゼントや旅行もそうですが、「残らないものに使うお金」って人生を豊かにしてくれるものだなぁと。それが大人ならではのお金の使い方なんじゃないかと、30代になったいま、実感しています。

文/小泉なつみ 写真/鈴木愛子