「仕事やった感」を出すために呼び出さないで

 あと、「挨拶のための打ち合わせ」にも異議を唱えたい! これは、メール送付可能な資料やイベント直前の10分程度の打ち合わせで十分な内容なのに、顔合わせのためだけに、既に分かっていることを確認するための不毛な会議のことです。

 残業代が出るサラリーマンの方は「仕事をやった感」が残せていいかもしれませんが、こちらは時間を搾取されるので、それだけで死活問題。むやみやたらと打ち合わせて、その日以外二度と会わない謎のスタッフさんたちと名刺交換する儀式って、必要ですか? 全員分の時給換算でいくらの損になるかという経営者脳のない、あしき慣習だと思います。

 相手にとってそれがどれだけの労働力を強いることになるのか、少しだけ想像力を働かせてほしいなと常々思います。ついでにいえば、名刺も経費ですし、むやみに連絡先をばらまきたくないので、名刺は、本当に必要な相手以外に渡したくないんです。

お礼にご飯はお礼にならないし、何も決まらない挨拶だけの会議はいらない (C) PIXTA
お礼にご飯はお礼にならないし、何も決まらない挨拶だけの会議はいらない (C) PIXTA

 ……と言いたいことはたくさんあるのですが、私もいざ相手を前にすると、とてもこんなこと面と向かって言えません。

 別に、向こうも悪意で言っているわけではなく、考え方や環境が違うというだけなので。ただ、あまりにも大幅に、自分の許容ラインを相手が踏み越えてきたときなどは、メールで冷静に整理して伝えるようにしています。

 その際、なるべく相手にダメージを与えないようにまろやかに包んだり、自分をあえて落として「私もこういうことがありましたが」とクッションを挟んだりして柔らかく伝えるようにしています。

 そうすることで鈍感な相手には全く響かないケースもあるので本当に一進一退なんですが、こういうインタビューなどで発信することで、徐々に仲間を増やしていく努力はしたいです。互いに想像力を働かせて、心地よくコミュニケーションがとれる関係性を築いていけたらいいですね。

文/小泉なつみ 写真/鈴木愛子、PIXTA