知っておきたいお得なポイントと注意点

Q:iDeCoはお得だという話を聞きますが、何がそんなにお得なんですか?

A:3つの税制優遇があるからです

 iDeCoのお得なポイントは、税制優遇です。「拠出時」「運用中」「給付時」の3つがあります。

 1つ目の「拠出時」の税制優遇とは、積み立てた金額が全額所得控除されます。仮に毎月2万円、年間24万円をiDeCoで積み立てたとすると、24万円が全額所得控除されることになります。

 次に、「運用中」です。資産運用で利益を得た場合、本来は約20%の税金(所得税・住民税)が掛かるのですが、iDeCoで運用する場合はこの税金が掛かりません。本来納めるはずの税金も含め、丸々利益として次の投資に充てることができます。

 最後の「給付時」は、一括で受け取るか、分割で受け取るかによって異なります。一括で受け取る場合は、会社の退職金を受け取るときと同様、退職所得控除を利用することができます。退職所得控除とは、退職時にまとまった金額を受け取る際に、税額を抑えるための控除です。分割で受け取る場合は、公的年金等控除の対象になります。いずれもお得な優遇ではありますが、給付時の税制優遇については、自分で積み立てたお金にも関わらず、iDeCoで受け取る金額が非常に多いと課税の対象になるケースもあるという逆の見方もできますね。

Q:iDeCoはいくらから始められますか?

A:最低金額は5000円です

 iDeCoの月々の最低金額は5000円です。上限金額は、自営業なら6万8000円、専業主婦なら2万3000円など、人によって異なります。

 少し複雑になるのが会社員の方の場合です。会社員で、勤務先に企業年金が何もなければ上限金額は2万3000円ですが、一部でも確定給付年金に加入していれば、1万2000円。企業型の確定拠出年金のみあれば2万円です。

 会社員の方は、勤務先の年金制度についてぜひ一度調べてみてください。総務部門など、福利厚生を扱っている部門に聞けば教えてもらえます。ちなみに、勤務先で「401k(DC)」や「DB」といった言葉を聞いたことがあれば、何かしらの企業年金があることになるので、1万2000円か2万円かのどちらかになるでしょう。

Q:掛け金は途中で変更できますか?

A:年に1回変更できます

 iDeCoの掛け金は、年に1回変更することができます。「加入者掛金変更届」を提出して変更します。月々5000円から1000円単位で設定できるので、仮に毎月2万円の拠出が厳しくなったら、1万5000円や7000円などに減額することもできます。ここでいう1年という期間は、1月~12月ではなく、4月~3月の間なので気を付けてください。

Q:早速検討してみたいです。証券会社に行って「iDeCoを申し込みたい」と言えばいいのでしょうか?

A:iDeCoはあくまでも「入れ物」のイメージです

 iDeCoという商品があると思われる方も多いのですが、イメージとしては「入れ物の種類」だと思ってください。iDeCoという入れ物の中で、投資信託や定期預金などの金融商品を買うイメージです。

 似たようなもので、NISA(少額投資非課税制度)がありますが、こちらもNISAという商品があるのではなく、NISAという入れ物の中で、株や投資信託を購入する仕組みです。

iDeCoもNISAも「入れ物」をイメージすると分かりやすい イラスト/田中小百合
iDeCoもNISAも「入れ物」をイメージすると分かりやすい イラスト/田中小百合