Q:iDeCoで積み立てたお金を60歳以降で受け取るときに、掛けた金額に対して損をする可能性はありますか?

A:投資を選べば、損をする可能性はあります

 iDeCoで積み立てたお金を将来受け取る際に、損をしている可能性はあります。iDeCoで選べる金融商品には、定期預金などの元本確保型(元本は減りません)と、投資信託の価格変動型(元本が増えたり減ったりする)の2つのタイプがあります。

 どの金融商品を選ぶのかにもよりますが、投資商品の場合は、結果が運用次第なので、元本が減ることも考えられます。元本確保型である定期預金の場合は、元本は減りませんが、iDeCoの手数料がかかる分、掛け金によってはマイナスになる場合もあります。

 ただし、金融商品は組み合わせることもできます。例えば、掛け金のうち、定期預金が90%、投資信託は10%のように割合を決められるので、毎月5000円なら500円分が投資信託(10%)、残りの4500円(90%)が定期預金になるというわけです。これなら、運用するのは月500円になるので、リスクが下がることになります。

 運用をする以上、リスクは必ずあるものです。お得さに注目しがちなiDeCoですが、きちんとリスクを知ってから始めることをおすすめします。

Q:始める前にどんなことに注意したらいいですか?

A:注意したいのは「手数料」と「60歳まで引き出せないこと」です

 iDeCoを始める際には、必ず掛かる手数料があることと、掛け金は60歳まで下ろせないという2点に注意です。

 必ず掛かる手数料というのは、口座を開設する際の手数料(2777円~)、加入中に毎年掛かる手数料(年間2004円~)で、金額は金融機関によって異なります。2018年からは年払いもできるようになりました。年払いでは、毎年掛かる手数料は2004円より安くなる金融機関もありますね。

 iDeCoは月に5000円から始められますが、手数料負けをしないようにと考えると、月に1万円以上で始めたいところです

 また、原則的に60歳までお金を下ろせないのは、老後資金としてしっかり貯められるという心強い特徴でもありますが、ライフステージの変化など、途中でお金を引き出したくなって困ることのないように、無理のない金額で始めることが大切です。

聞き手・文/西山美紀 写真/PIXTA イラスト/田中小百合