「そんなこと自分で考えろ!」と言われることは分かっている……。だけど、モヤモヤと考えてしまうささいなことを、小島慶子さんにぶつける本連載「小島慶子さんにこんなコト聞いちゃいました」。第2回となる今回のテーマは、自己紹介です。

Q.自己紹介がとにかく苦手です。どうすれば上手にできますか?

「自己紹介の失敗談なんて、たくさんありますよ」

 今でこそ人前でペラペラしゃべっている私ですが、もともとは超が付くほどの引っ込み思案。コミュニケーションへの苦手意識が強く、当然、自己紹介の場面でも失敗ばかりしてきました。

 就活での面接や転校生としての挨拶、中学デビュー時などなど、本当に恥の多い人生で……。

 今回はそんな私が後に採用官や新人教育担当として自己紹介の指導までするようになったきっかけでもある、アナウンサー試験での失敗談からお話ししたいと思います。

「私は好奇心旺盛で協調性がありリーダーシップのとれる人間です」

 テレビ局のアナウンサーを目指し就職活動をしていた大学生の時。いくつかの局で最終試験直前まで残ることができたのですが、どこも必ず自己PRの時間がありました。そこで、当時最も人気のあったフジテレビの試験前に自己PRの猛練習をしたんです。文章を丸暗記し、鏡の前で情感たっぷりに、表情もつけながら、何度も何度も空で言えるまで練習を重ねました。

 そうして迎えた当日。練習のかいあって完璧なまでにスラスラと自己PRを言い終えることができた私は、小鼻を膨らませて「どーだ!」という感じ。面接官から質問されることもなく、「……じゃあ……いいですかね。はい、ありがとうございました」と言われて終了。「完璧過ぎて質問もでなかった!」と己の出来に満足し、余裕の心持ちで他の受験者の様子を観察していました。

 するとみんな「大学では○○部で活動していて、趣味は読書です」といった感じの本当に普通な自己紹介ばかりしていて、話に緩急もなければ工夫もない。面接官からも「部活って具体的には毎日どんなことしてたの?」「最近はどんな本が面白かった?」とたくさん質問されていて、「やれやれ、情報不足だからそうやって聞かれちゃうんだよ」と、ますます自分の合格を確信したのでした。

 しかし結果から言うと私は落ち、合格したのは平凡な自己紹介の人たちだったのです。

丸暗記をやめたら、面接で落ちることがなくなった

 当たり前かもしれませんが、面接官が聞きたかったのは暗記してきた完璧な自己PRではなく、質問したくなるような話だったんですよね。自己紹介というのは会話のきっかけを作ることであって、ツッコミようがないくらいパーフェクトな自己PRを披露することではなかったのです。

 確かに、「どうです、私ってこんなに魅力的な人物なんですよ(えっへん)」とこられたら、「はあ、そうですか」としか言いようがないですよね。やっとそのことに気付けたのが、泣きはらしてボロボロの状態で挑んだ、翌日のTBSでの面接でした。

 「実は昨日フジテレビの面接落ちまして」とヤケになってありのままの状態を話したところ、「へえ、大変だったね。で、君はなんで落ちたと思うわけ?」なんて話が弾んであっという間に15分の面接が終わり、結果は合格。私は晴れてTBSでアナウンサーになることができたのでした。

 面接での自己PRといっても、結局は会話を通じてその人の人柄や話し振りを見ているんだということが分かってからは、事前に自己紹介を考えたり丸暗記するのをやめたんです。それで、「昨日はこんなことがありました」とか、「今日ここに来るまでにこんなことを考えてました」とフリースタイルで話すようにしたらすごく楽しくなった上、その後は面接で落ちることはありませんでした。