多くの男性は「呪い」をかけられている

 ここで白状しますと、私の夫も教祖であり、ヒーローの呪いをかけられた男です。ただ彼の場合は巧妙で(笑)、家事能力も高く、全く女性差別をしない人なんですが、結婚後、とある事件を機にそれが偽りだったことが発覚しました。

 そのことに気が付いたのは同居中ではなく、悲しいかな「産後クライシス(出産後に良好な夫婦関係が築けなくなること)」の時でした。遅いよ、自分!

 ただですね。「理想」を取るか「実」を取るかで言うと、日常生活のほとんどは「実」です。だから人としての根底に問題があっても、家事・育児をしっかりやってくれる夫とは、取りあえずつつがなく生活できるわけです。

 一方で、女性の権利に理解があって対等な関係で一緒になれそうな人だけど、家事能力はゼロ、みたいな人のほうが、現実的な暮らしはしんどいかもしれません。どちらを取るか、非常に難しいところではありますが……。

 結婚すればすべての悩みが雲散霧消するように思うかもしれませんが、あいにくそんな逃げ込めるシェルターみたいな完璧な男はいないんですねえ。最近私も気が付きましたが、ほとんどの男性に呪いがかかっていますし、完璧な男性なんていません。誰もが羨むピカピカのお家かと思いきや、中に入ると天井裏にねずみがいたり、ベッドルームにカビが生えてたりしますから(笑)。

 私もかつて夫が起こした事件をまだ許していません。子育てのために長らく封印してきましたけど、最近、ミイラ化したその問題をまた引きずり出してきて、「このミイラだけどさ、どうなってんのよ」と、折に触れてネチネチと言っています。ですからわが家のリビングルームには今、ミイラが横たわっているんです(笑)。

髪を切ると「失恋したの?」などのテンプレトークは無視すべし

 だいぶテーマから逸脱してしまいましたが、「猫を飼いました」と言うと、「もう結婚できないね」とか、髪を切ると「失恋したの?」みたいなテンプレトークもよく聞きます。他にもいろいろ言うことはあるはずなのに、なんでお決まりの反応なんでしょうかねえ。

 かつてある有名人と話す機会があって、その方は「へえ面白いね」とか「それいいね」なんて言いながら私の話を聞いてくださってたんですけど、最後に一言「楽しかったよ。で、君、名前なんだっけ?」っておどけて、去って行ったんですよ。名刺渡したのに。

 冗談のつもりなんでしょうけど、古臭いし、単に失礼ですよね。たぶん「オレ流軽妙トーク」なんでしょう。去りゆく後ろ姿が得意げでしたから。「な、俺ってエラいのに飾らなくて面白くておしゃれだろ?」って文字数多いのに、背中にくっきり書いてありましたよ。

 こういう人はとにかくその場のイニシアチブを取りたいんです。ハート泥棒になりたいんです。緊張して真面目にしゃべった私の真心を返せ!

 これと同類でですねえ、猫を飼ったと聞けば「結婚できなくなるよ!」的なテンプレトークを繰り出す人は、ただ相手の気を引きたいだけの人なので、「にゃー」とか適当に答えて無視してください。真に受ける必要は全くないと思いますね。

「気にする必要、ナシ!」
「気にする必要、ナシ!」

ソーシャルセクターの給与・働き方・キャリアとは?

聞き手・文/小泉なつみ 写真/稲垣純也