披露宴を、人と人との出会いの場に

「いろんな人と話せて楽しかった、と思ってもらいたいですよね」
「いろんな人と話せて楽しかった、と思ってもらいたいですよね」

 私自身は席次で悩むのが嫌で、立食形式の披露宴にしました。あと、「テレビ業界の方はお忙しいですよね」と言って出入り自由にして、開催時間中だったらいつ来ても、いつ帰ってもらってもOKというスタイルにしたんです。

 悩んだ揚げ句の方法でしたが、結果として喜んでもらえてホッとしました。スピーチを頼んだ方も当日仕事があったので帰りやすくて助かったらしいし、ビュッフェ形式だったので、好きなものを好きなだけ、自分のペースで食べられてよかったという声も聞きました(笑)。

 でも立食形式にしてなによりよかったのは、会場内の交流ができたこと。招待した皆さんに「行ってよかった」と思ってもらうには、新郎新婦だけでなく、その場でいろんな人と話せて楽しかったと思ってもらうのが一番ですから。

 出し物に凝るのもいいですが、人と人との交流が生まれる仕組みを考えると、披露宴はうまくいくような気がします。例えば着席であっても途中でお庭に出る時間をつくるとかね。あと立食にすると二次会とノリが似てくるので、二次会をやらなくても済むのもポイントです。

 あ、二次会といえば、「男性1万円/女性7000円」みたいに男女で会費設定が違うことがあるのってなんででしょうね。男性のほうが飲み食いする量が多いから? それとも男女の出会いの場として機能してるってこともあるんですかね。そんな暗黙のうちに合コンに巻き込まれるみたいな設定はどうなんでしょう。「3000円分多く出してるんだから、いい女の子を用意しているんだろうな」とか勘違いする男性や、「それだけ会費を出せるいい男性がそろってる」と勘違いする女性がいそうだし、そんなあけすけな視線にさらされるのは苦痛です。双方に迷惑が掛かるからここは平等でいいんじゃないかなーと思いました。

 考えてみたら、「いつもありがとうございます」ってお世話になっている人に正面から言える機会って、実は結婚式くらいしかないんですよね。お葬式があるけど、霊の声は聞こえないから。

 そういう意味では結婚式でなくても、他にも何か機会があったらいいなと思います。年賀状やお中元・お歳暮といったお礼の機会が減っている今だからこそ、そういう場を設けるのはいいことかもしれません。結婚後に別れてしまって、離婚式をやる人もいるみたいですけど、それも一案。

 私も硬軟取り混ぜいろんな所に知り合いがいるので、友人たちが交流できればという思いから、食事会をよく開いているんです。せっかく人生経験を積んで40代になっていろんな人脈が広がったから、自分を媒介にして人と人がつながることができる場をつくれたらうれしいなと。

 「披露宴フィードバック会」なんかどうでしょうね。結婚当時の映像を流して、あの時門出をお祝いしていただきましたが、その後のわが家の10大事件を報告します、とかね(笑)。なんか身につまされそうだけど、ちょっと他人のも行ってみたい気がします。

聞き手・文/小泉なつみ 写真/稲垣純也