SNSに書いたことを、名刺交換した後に話せるか

「SNSに投稿した内容は、パブリックなものです」
「SNSに投稿した内容は、パブリックなものです」

 気を付けたいのが、SNSでの発信=人前でしゃべっているのと同じ状態ということ。肝に銘じておいたほうがいいでしょう。自分がそこで名乗った肩書や発言は、私的な空間でいつでも取り消せるものではなく、実はネット上という公共の空間に出てしまっているんです。例えば渋谷のハチ公前広場とか、そういうパブリックな場所で「○○に勤めている△△でーす、なんかあの男むかつきますよね」なんて言っているのと同じ。だから、それがありかなしかと考えることが大事だと思います。自分の手の中にある四角い画面の中でやってるとつい忘れがちですけど、SNSは公共の空間です。

 また、所属している組織や肩書を明らかにしている場合、いくら個人のアカウントからの発信であっても、周囲からはその組織の意見として捉えられてしまうことも忘れてはいけません。「私は会社の犬じゃない」とか「これは私見です」と言っても、肩書を名乗って発言している以上、そういう考えの人間がいることを組織が認めているってことだろ、と思われてしまう。

 逆に、自分の勤めている会社が世間で炎上し、その炎上に対するバッシングが自分のところに来ることもあるでしょう。本人は全然関係のないつもりでいても、その組織の人間と名乗っている限り、「おまえも会社と同じ意見を持っている人間だろう」と見られてしまうこともあります。

 ですから会社名を明かしているアカウントでSNSに投稿する前に、今からつぶやこうとしているその一言は、自分の名刺を第三者に渡しても話せる内容かどうか想像してみることは、大事かもしれない。マナーというか、リスク管理ですね。

小島さんが息子にSNSを制限する理由

 息子には、SNSはInstagramとSnapchatしか許可していません。そもそもわが家はアプリを入れるときには親の許可を取らないといけないことになっています。もちろん息子からは何度も「友達はいろんなSNSをやっているから自分もやらせてほしい」と言われました。でも、うちは「キリがないし、ネット依存になるからダメ」って。ネット依存って病気だから、誰でもなり得る。それに、ネットでの人間関係がリアルよりも増えてしまうと、どうでもいいことが気になっちゃって人生の多くの時間を無駄にする可能性もある。このことはずっと息子たちに伝えています。

 そういえば、Facebookって設定でオフらないといつログインしたかが分かりますよね。私の知人が昔付き合っていた男性が、彼女がログインしているかどうかをずっと見ていて、さらには彼は共通の友達のログイン状態もチェックしており、「○○ちゃん、今日さ、午前中にログインしてた時に共通の友達のあの男もログインになってたよね。で、午後も同じタイミングでログインしてたよね。二人でメッセンジャーでやり取りしてたんでしょ?」とあらぬ嫌疑をかけられたという……怖いですね。しかしそんなにこまめに彼女を監視しているなんて、これこそ人生の多くの時間を無駄にしてますよね。SNS依存からストーカーになりかねないですから気を付けないと。

 ……とにかく息子たちには、あくまでもネットは補助的なツールと考えて、リアルな対面の関係を大事にしてほしい。その上で、あくまで連絡などのツールとしてか、あるいは特定の親密な人との関係を深めるためのツールとしてネットを上手に使ってほしい。コミュニケーションの中心はあくまでも学校で顔を合わせたときの生身、リアルの場なんだと分かってほしいんです。なぜなら、生身のコミュニケーションが、一番情報量が多いしコミュニケーションのリテラシーが鍛えられるから。そこで修行しないと、ネット上でも豊かな関係が築けないので。

 私は息子たちとのメッセージのやり取りは、スマホのショートメッセージを使っています。二人の息子に同時に送ることが多いんですが、長男は即レスなんですよ。おまえまめだな! と感心します。次男はというと……これがもう人心をもてあそぶタイプ。めったに返信がなくて、あってもすごくそっけない一言だったりして。つれないタイプが好みの女子からしたら、罪な男でしょうね。

 あ、そうそう、仕事仲間の男性から間違ってお母さん宛てのメッセージが送られてきたことがあります。「南口は遠いから北口に行って」と書いてあったので、いきなり何の話じゃいと思っていたら「すまん! 今のは法事で待ち合わせ中のおかん宛てのメッセージだった」と(笑)。意外と孝行息子じゃねえかとグッときて、いやもう、行こうかと思ったよ、北口。

 誤送信といえば、以前知り合いに間違ってLINEを送ってしまったことがあり、すぐにメッセージを送信取消。けどあれって向こうに「送信を取り消しました」って表示されるんですね。テキトーな人なのに珍しく「何だったの?」って連絡がありました。送信取消で気を引くのはLINE女子がよく使うテクニックだと聞いてはいたのだけど、自分もうっかりやったら本当に反応があったので効果を実感。1回しか使えないけど、なかなか返事をくれない男に夢中の人は、LINEでわざと送信取消の痕跡を残すのもいいかもしれません。

「仕事関係の人とは、無理をしない程度につながればいいと思います」
「仕事関係の人とは、無理をしない程度につながればいいと思います」

聞き手・文/小泉なつみ、梶塚美帆 写真/稲垣純也