知性と愛嬌、どちらかを極める時代じゃない

 硬質な本質と柔和な上っ面。知性と愛嬌。この両方はすこぶる重要で、某旅行会社さんの問題になったツアーも、硬質なはずの東大女子の柔和さを売り物にしたことが問題になったけど、硬質を極めているからといって柔和な女性を売り物にしてはいけないなんてことはないと思うんです。

 どちらも場に応じて、求めに応じて、提供できる準備をするのが女子の醍醐味でしょう。もちろん、硬質一筋、柔和一筋の女子もいていい。だけど、そのバランスの比率はいろいろあっていい。

 実験室からでない理系女子もいていいし、愛嬌満点の営業女子ももちろんあり。いろんな武器を持っていていい。ただ、愛嬌だけではもうやっていけないし、知性だけでも厳しい世の中。

 AKBの女の子たちのプレゼンテーションを聞いていると愛嬌の権化である女性アイドルたちの知的レベルに圧倒されるし、東大女子のキラキラ度をみると知性の権化である彼女たちの愛嬌にも圧倒される。

 愛嬌だけで格付けされていたほうがある意味幸せだったかもしれないけど、最近の女子の格付けは、知性と愛嬌の2つの軸で極めていないと高位につけない。HKTの指原莉乃さんはもちろん、この知性と愛嬌を併せ持ち、戦い抜いてきたからこその連覇なのです。仕掛け人であるおじさまたちが未だに愛嬌軸だけの世界観にとどまっていそうなのに対して、総選挙での女の子たちは2つの武器で既に戦っている。そこに、ちょっと感動を覚えちゃいます。

私にとって総選挙はなぜ必要なのか

 社会に出れば何らかの格付けの中に、男も女もその身を晒さざるを得ません。

 AKB総選挙を見終わると、「アイドルも大変だな」と思うのと同時に、「ああ、私もがんばろう」と、自分もさまざまな格付けを日々されていることにふと気づき、相当頑張らないと毎年少しずつランクを落とさざるを得ないことに慄然とするのです。だから、私にとってAKB総選挙は、必要なんです。

文/村山らむね 写真/PIXTA

プロフィール
消費生活アドバイザー、産業カウンセラー、ファイナンシャルプランナー
村山らむね
1966年生まれ。埼玉県出身。慶應義塾大学法学部卒業後、東芝入社。都市開発・新規事業開発に携わりながら、「村山らむね」として個人HP「らむね的通販生活」を立ち上げ。2000年からイーライフにてウェブや企業SNSのプロデュースを担当。2004年にスタイルビズ設立。経産省 消費経済審議会 特定商取引部会委員会や日経イノベーションアワード審査員など多数。2004年から「ワーキングマザースタイル」を運営。