転職者の活躍・定着を阻害するのは「給与」「残業時間」!

 次に「中途入社の正社員が定着しなかった/活躍しなかった要因」について、エン・ジャパン独自の「衛生要因」と「動機づけ要因」に分けて紹介します。「衛生要因」は不満を予防する歯止め役となる給与・賞与、休日休暇、福利厚生、職場の物理的環境のこと。一方の「動機づけ要因」としては人間関係、承認・賞賛、達成、成長などがあります。

 衛生要因の上位は「給与に不満があった」19.1%がトップで、「残業が多かった」15.5%、「労働条件(ノルマ等)の厳しさに不満があった」15.0%と続きます。

 従業員規模別では、「10名以下」の企業は「社会保険、労働保険の適用に不満があった」「深夜手当に不満があった」が全体平均に比べて大幅に高い結果となりました。また、「501名以上」の企業はほとんどの項目で平均を上回り、中途入社者が衛生要因に不満を抱えやすいことがうかがえます。

「職務内容とのミスマッチ」「職場の雰囲気への不満」が上位に!

 「中途入社の正社員が定着しなかった/活躍しなかった」動機付け要因は、「職務内容が合わなかった」27.5%、「職場の雰囲気に不満があった」22.1%、「事業内容が合わなかった」21.5%が上位に並んでいます。

 従業員規模別に見ると、「50名以下」の企業では、全体で上位だった職務内容や職種のミスマッチが非常に低い傾向があります。「101~500名」の企業は、「事業内容が合わなかった」「社風に不満があった」が平均より高くなっています。

 今回の調査では、従業員10名以下の企業では社会保険や深夜手当など待遇面への不満があるものの、職種や社風、人事評価への不満はかなり低い傾向がみられました。小規模の会社へ転職する際は、保険や手当についてきちんと確認しておきましょう。

 501名以上の企業では、さまざまな条件面でも動機づけの面においても不満を持つ人が多いようです。規模の大きな企業では不満を抱えやすいものと心しておくほうがよさそうです。

文/佐々木恵美 写真/PIXTA