「自己ブランド」はどう磨く?

 ホットペッパービューティーの営業などを経て、オリンピック・パラリンピック推進室に所属(注:取材当時)する岩本さんは、会社員でありながら個人事業主も務めるパラレルワーカーだ。岩本さんは、「会社に所属していたら、一見、自分の成長にはつながらない業務を担当することももちろんある」と前置きした上で、「目の前の仕事の『価値』と『糧』を考えるようにしています」と語った。「この業務を経験したらこんな成長につながる、あの業務は自己成長にはつながらないかもしれないけど、自分の糧にはなるはず――。こうした意識を持って、一つひとつの業務の価値と糧を考えていくと、仕事に取り組む姿勢も変わると思います」と岩本さん。「目の前の仕事にコミットし、小さな成功体験を積み重ねていくことが企業ブランドも磨くことにつながり、結果的に自己ブランドも築いていけるのではないでしょうか」。

 一方、経営者として登壇したポジウィル代表の金井芽衣さんは、「会社と対等に渡り合う個人力の磨き方」についてアドバイスした。「変に自分をよく見せようとせず、飾らない自分を発信することが大切。生きざまに共感してもらい、『自分のファンをつくる』ことが重要だと思います」。

 ポジウィルを起業する前はリクルートに勤めていた金井さん。今は会社員でも「いつか独立したい」と考える人への助言として、「退職する時期を決めたら、それまでに実現したいことをリストアップして、その目標を達成するといいと思います」と話した。

 「私自身、独立を決意してから実際に会社を辞めるまでに1年ほどかかったんです。ですが、その1年間で『部署間・世代を超えた社内コミュニケーションを活発にしたい』という目標を決めて、それを達成するために努力しました。そうした成功体験は今も自分の自信につながっています」

退職日を決めたら、逆算。それまでに達成したいことをリストアップして、実現しましょう(写真はイメージ) (C)PIXTA
退職日を決めたら、逆算。それまでに達成したいことをリストアップして、実現しましょう(写真はイメージ) (C)PIXTA

自己ブランドは「目の前の仕事にコミットする」ことで築かれる

 ミレニアル世代の女性の約7割が「個人名で働きたい」。でも、自己ブランドの築き方が分からない――。そのヒントは意外と身近なところにある。会社員を続けるにしても、独立するにしても、「意識的に目標を持ち、目の前の仕事にコミットする」ことが自己ブランドを築いていく最善策なのかもしれない。現状に悩んだり、将来のキャリアパスに不安を感じたりしている人は、意識を少しずつ変えることから始めてみてはどうだろうか。

【アンケート概要】
SHEとマーシュ(*注)によるアンケート調査
調査期間:2018年10月26日~11月4日
調査対象:22~34歳の都内で働く女性180人、40~59歳の都内で働く女性41人

*注:2018年11月12日より「アスマーク」に社名変更

文/浜田寛子 写真/PIXTA