寝るときもしっかり防寒

 冬場の就寝時は、皆さんどのように寒さ対策をしているのでしょうか。「布団を増やす」(47.1%)、「厚着をする」(33.4%)がトップ2となり、「靴下を履く」「暖房をつける」も2割を超えています。

冬場の就寝時の寒さ対策は?(複数回答、n=1000)
冬場の就寝時の寒さ対策は?(複数回答、n=1000)
「布団を増やす」が王道

熟眠のカギは「体温のコントロール」

きちんと眠れていますか?  (C) PIXTA
きちんと眠れていますか? (C) PIXTA

 最後に、「より深い質のよい睡眠を取る方法」を知っているかどうかを問いました。

『体温は日中活動している間は高く、夜には下がり、眠くなります。日中と夜の体温落差が大きいほど、眠気が強くなり、深く熟眠できます。そのため、眠りにつく前に少し体温を上げておくことで、眠りにつくタイミングで脳が体温を下げる指令を出すため、スムーズで深い眠りが得られやすくなります。』

 この文章を読んでもらい、知っていたかどうかを聞いたところ、75.6%は「知らなかった」と回答しています。

より深い質のよい睡眠を得る方法を知っていますか?(単一回答、n=1000)
より深い質のよい睡眠を得る方法を知っていますか?(単一回答、n=1000)
良質な睡眠の取り方、知りたいですね…

 深い眠りの鍵は体温差。眠りにつく前に、意識的に少し体温を上げておくのがコツのようです。

就寝時は「発熱系」よりも「保温系」を

 大阪府立大学名誉教授の清水教永さんによると、就寝時に布団を増やす、厚着をする、靴下を履くという「自己流の寒さ対策」は、「体温の調整ができずムレてしまい、熟眠しづらいといわれている」のだそうです。アンケートで回答の多かった方法は、実は熟睡に適していないということになります。闇雲に厚着することは見直しましょう。

 「体温を下げることができない寒さ対策ではかえって熟眠できません。就寝時に厚着をする場合は、体温の調整が可能なインナーを着用することが大切です」(清水さん)

 近年はさまざまな繊維・素材のインナーが発売されていますが、何を選ぶのがよいのでしょうか。清水さんは、「『吸湿発熱素材』は体から発せられる水分を吸収して発熱します。運動や睡眠などの発汗量が多い場面で、本来は温度を下げたい状態でも発熱するというデメリットもあります。『蓄熱性保温素材』は太陽光などの光で発熱しますが、就寝時などには効果を得ることが難しいというデメリットがあります。光電子繊維などの『遠赤外線保温素材』は体温域の遠赤外線の輻射によって体そのものを温める機能を有していて、連続装用に適しています」と説明します。

 特徴を見極めれば、昼の活動時に向くインナー、就寝時に向くインナーが見えてきますね。

 清水さんのアドバイスをもとに、活動に応じて適切なインナーを選び、この冬は少しでも暖かく熟眠できるように心掛けてみませんか。

文/佐々木恵美 写真/PIXTA