【質問 7】仕事やプライベートで、絶対にしないと決めていることは?

【回答】自分の気持ちに蓋をしない

 23歳のときにコーチングと出合い、自分のありたい姿と初めて向き合うことになりました。コーチングで自分が大事にしたい感情を深掘りしていったところ、1位が「素直になりたい」、2位が「甘えたい」だったんです。

 これにはがくぜんとしました。それまでは、運動部でマネージャーをするなど、誰かに頼られることはあっても、自分が他人に甘えることはありませんでした。それに、就活などで散々自己分析をしていたので、私は私自身のことを分かっているつもりだったんです。

 今ごろ本当の自分の気持ちに気付くなんて……と動揺しましたが、同時に「私の第二の人生が始まるんだ」と感じました。素直になれない、甘えられないのは23年間生きてきて凝り固まった私の心の癖みたいなものです。すぐには直らないかもしれない。でも、もう自分の素直な気持ちに蓋をするのはやめよう、と決意しました。

 それからはコーチと二人で「特訓」の毎日です。例えば、「ランチでは人に合わせず、自分が好きなものを頼む」「自分が一番先に注文する」といった小さなことから始めました。たったそれだけのことですが、最初はとても抵抗があったんです。

 徐々に自分の素直な気持ちを解放できるようになり、今ではとても生きやすく、気持ちが楽になりました。昔は素直になることや甘えることが「ワガママ」だと思っていましたが、素直な意見を伝えたほうが、相手にも喜んでもらえることが多いと分かりました。

【質問 8】「わたしを変えた」人物とのエピソードは?

【回答】夫がビリー・ジョエルの「Just The Way You Are」を聞かせてくれた

 私が素直になれたのは、コーチとの特訓以外にも夫の存在が大きいです。夫がどんな人かを一言で言うなら……菩薩のように穏やかな人、ですね。

 彼とは就活中に出会い、遠距離恋愛をしていました。あるとき、彼が電話口でビリー・ジョエルの「Just The Way You Are(素顔のままで)」を聞かせてくれたんです。歌詞の内容を教えてくれた後、「素直になっていいんだよ、甘えてもいいんだよ」と言ってくれ、実家の自分の部屋で号泣した思い出があります。

それまで原さんは、他人に「甘えていい」と思えた経験がなかったそう
それまで原さんは、他人に「甘えていい」と思えた経験がなかったそう

 今では落ち込んだり、疲れたりしたときは「夫に甘えまくる作戦」で乗り切っています。「ハグして」「頭なでて」と夫に頼んで、とにかく甘えます。私もこんなことを言えるほど素直になれたんだ、と我ながら驚きです。