【質問3】エッセーを執筆するようになったきっかけと新刊のコンセプトは?

【回答】どちらも「年下の女性編集者」のおかげです

 32歳の時、出版社を退職して別業種の会社へ転職しました。その時に、学生時代から私のブログやTwitterを読んでいたという新卒の女性編集者が「空いた時間でうちの媒体にエッセーを書きませんか?」と誘ってくれたのです。上の世代とのコネクションを生かして独立する人も多いのですが、私の場合は新しいウェブメディアのお陰で、若い人に声を掛けてもらって、新しいキャリアが築けました。同じような変化は、いろいろな業界で起き続けていると思います。

 新刊「天国飯と地獄耳」のコンセプトも、若い雑誌編集者が、一緒に考えてくれたものです。別の部署から異動したばかりの彼女は、「会いたい人にはどんどん会いに行って口説き落とせ」と言われた上司の言葉通りに行動し、面白い記事をたくさん作って当時ちょっとした有名人になっていました。前の部署でもすごく優秀だったのだろうと思います。

 最初は「食べ歩きのエッセーを書きませんか」と言われたのですが、打ち合わせをする中で「おひとりさまだと食事中に手持ち無沙汰だから、店内をじろじろ観察しちゃいますよね」という話になり、「ごはんと盗み聞き」がテーマになりました。

「天国飯と地獄耳」(キノブックス)には、東京とニューヨークでの“盗み聞き”のエピソードがつづられています
「天国飯と地獄耳」(キノブックス)には、東京とニューヨークでの“盗み聞き”のエピソードがつづられています