【質問4】自分をご機嫌に保つため、モチベーションを上げるために、よくする行動はありますか?

【回答】意識して「おひとりさま」になる時間をつくっています

 日本を離れて初めて、「水と、安全と、一人飯/一人晩酌ができる店」の価値に気付きました。新刊の「世界一おひとりさまに優しい街」という章にも書いた通り、東京で生まれ育った私は「人生ソロ活動」が基本で、一人飯が当たり前と思っていました。「外では友達とワイワイ騒いで、アパートメントに帰ると夫と二人暮らし」では、息が詰まってしまうのです。でも、ニューヨークは徹底した「カップル文化」の街なので、女一人でお酒を飲みに行くと、店員さんから「本当に一人? 本当に?」と何度も聞かれたり、「連れの男性が来たらテーブルを用意するよ」と言われたりしてしまいます。

 なじみの客である私を覚えているけれど、放っておいてくれるカフェのような空間が、私にとっては最高に居心地がいい場所。そういうお店や、母校の大学図書館の自習室、人が激しく出入りする公園の隅にあるベンチなど、他の人がいる環境で孤独を感じられ、長居しても邪魔されずに一人きりになれる場所をいくつか確保しているんです。自宅で仕事をしていて煮詰まったときは、そうした場所で気持ちを切り替えています。

一人きりになれる場所をいくつか確保しているのだそうです

【質問5】どうしても落ち込んでしまうときの対処法を教えてください

【回答】取りあえず寝ます!

 ひどい自己嫌悪に苦しむときは、睡眠不足で判断力を失っている場合がほとんど。何かトラブルが起きたときも、いったん寝てから解決方法を考えるほうが早いことがあります。私はリラックスしようとすると逆に肩に力が入ってしまうタイプなので、強制的に脳のスイッチをオフしてくれる「睡眠」が何よりの薬です。

 20代後半の頃、徹夜が続いて生活リズムが乱れ、睡眠障害になったことがあります。大事な会議の日に寝坊をしたり、ミスを連発したりして、うつ病の一歩手前に。毎日落ち込み続けていたのですが、心療内科の先生から「その症状は、寝さえすれば治る」と言われたんです。当時は睡眠薬を使ったりして、回復にずいぶん時間がかかりましたが、長期的に見たら本当にその通り。今は、ちゃんと寝ることをおろそかにしないようにしています。

 執筆・編集・デザインという今の仕事につながる原点から、エッセー執筆のきっかけ、落ち込んだときの対処法までお話しいただいた今回。後編では、人生の分岐点となった出来事や愛用品、影響を受けた本についてお聞きします。

聞き手・文/飯田 樹 写真/竹井俊晴

岡田育(おかだ・いく)

文筆家。1980年東京都生まれ。出版社で婦人雑誌と文芸書籍の編集に携わり、退社後の2012年よりエッセーの執筆を始める。著書に「ハジの多い人生」(新書館)、「嫁へ行くつもりじゃなかった」(大和書房)、二村ヒトシ・金田淳子との共著「オトコのカラダはキモチいい」(角川文庫)。2015年夏より米国在住。パーソンズ美術大学グラフィックデザイン学科修了。近著に「「天国飯と地獄耳」(キノブックス)。