【質問4】時間の使い方で工夫していることを教えてください

【回答】やるべきことの順番付けをします

 手帳を見ながら、やらなければならないことの順番付けをしています。生活であれば、「クリーニングはこの日までに出す」「この家事はこの日までにやる」と、自分の中の重要度順にスケジュールを埋めていくのです。最初にそれをしておくと、自分をマネジメントしているような状態になります。

 パイロットの仕事は、オフィスで働くよりも一つ一つの区切りがはっきりしていると思います。悪天候等で運航スケジュールが乱れることはありますが、事務職のような残業はありません。フライト以外に抱えている仕事があるときは、滞在先で「みんなで夜ご飯に行く前に2時間あるからこれをやろう」という感じで、やはりスケジュールを埋めていくかたちで時間を確保して仕事を進めています。

「自分の中の重要度順でスケジュールを埋めていきます」と藤さん
「自分の中の重要度順でスケジュールを埋めていきます」と藤さん

【質問5】充足感を感じるのはどんなときですか?

【回答】大変な仕事を終わらせたときです

 天候が荒れていたり、イレギュラーが続いていたりする仕事の最中は、その時その時で集中力を高めます。そのため、仕事が終わった時に感じる、「一つの仕事を終わらせた」という満足感や達成感は大きいですね。緊張感が強い仕事なので、帰ったらお風呂に入ることで緊張をリリースします。「今日はすごく疲れたからこれを使ってみよう」と、好きな香りの入浴剤を入れてお風呂に入ると、緊張がほぐれていきますね。

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 パイロットとしての現在の活躍に至るまでには、さまざまな人との出会いがあったという藤さん。人からの言葉を受け止め、自分の力に変えていくことが、出会いによって道を開いていくための秘訣なのかもしれません。

聞き手・文/飯田 樹 写真/竹井俊晴

藤明里(ふじ・あり)

日本航空 運航本部 運航訓練審査企画部 定期訓練室 調査役 737機長(兼)運航訓練部 737訓練室 飛行訓練教官。1992年大学卒業後、米国のパイロット養成学校に入学し、ライセンスを取得。1993年に帰国し、仕事をしながら国内のパイロット養成学校で日本のライセンスを取得。1997年、地方空港を拠点とする航空会社に入社。1999年JALエクスプレス(現・日本航空)入社。2000年に副操縦士となり、2010年に機長に昇格。