週刊誌「AERA」の編集長時代には、秋元康氏や鈴木敏夫氏など外部プロデューサーによる「特別編集長号」や、ほぼ日やNewsPicksなどネット媒体とのコラボ企画……と次々に新しい取り組みに挑戦し話題を呼んだ、浜田敬子さん。2017年に50歳で転職し、現在「ビジネス インサイダー ジャパン」の統括編集長を務めています。そんな浜田さんが今月「働く女子と罪悪感」を上梓。浜田さんはずっと「すごい人」だったのか? 書籍に込めたメッセージは? これまでの仕事の転機は? コラムおなじみの10の質問で迫ります。

「私、実は、ダメダメな新人だったんですよ」

【質問1】「働く女子と罪悪感」を書こうと思った動機は?

【回答】若い女性たちの苦しさを解きたかったから。

 私はいわゆる「均等法世代」。朝日新聞社に入って新聞に4年、週刊誌の取材・編集に23年携わって、最後の1年は事業系の仕事も経験しました。その後、50歳の時に一念発起してウェブメディアの世界へ。夢中で走り続けてきたけれど、気付けば働き始めて30年たっていたんです。

 その頃、私が登壇したイベントに来ていた編集者に声を掛けられたのですが、初めは「私なんて」とお断り。でも、熱心に話をいただくうちに、「確かに、30年といえば一つの歴史だな」と。

 この30年の間に働く女性に起きたことを、一人のケーススタディーとして書き残すことには意味があるかもしれないと感じたんです。職場にほとんど女性がいない時代に、どんなことが起きていたのか。それにどう向き合ってきて、男性たちの反応はどうだったのか。時系列でできるだけ具体的にエピソードを書いていくことが、今の若い世代が向き合っている現実の解釈の助けにもなるんじゃないかとも思えたんですね。

 例えば、「なんでセクハラやマタハラが起きるんだろう?」とか「40代の女性の先輩が極端に少ないのはどうして?」といった違和感や疑問を抱く背景には、「ごく少数派でしかなかった女性たちが『男性化』して過剰適応した時代があったから」「就職氷河期で極端に採用を絞る時期があったから」と過去からの文脈があるんです。それらを示すことで、彼女たちの気持ちが少しでもラクになったり、解決策を見つけるきっかけになるとうれしいです。

 最後に、決定的だったのは、テレビ朝日の女性記者が財務省事務次官から受けたセクハラ事件です。メディアで働く女性を取り巻く問題は何も変わっていない。このままでは同じことが繰り返される。その危機感が筆を走らせました。