悔しいときこそ食べて忘れよう 「忘却のサチコ」

阿部潤「忘却のサチコ」(小学館)は「ビックコミックスピリッツ」にて連載中。単行本は9巻まで発売中
阿部潤「忘却のサチコ」(小学館)は「ビックコミックスピリッツ」にて連載中。単行本は9巻まで発売中

 ランチは仕事しながらコンビニ弁当で済ませたり、残業で疲れて料理する気力がなく、スーパーの総菜を買って帰ったり……。そんな毎日が続いていませんか? 食べることは単に空腹を満たすだけでなく、幸せな気持ちをもたらす行為。それを思い出させてくれるのが「忘却のサチコ」です。

 文芸誌の編集者であるサチコは、結婚式の当日に新郎の俊吾に逃げられてしまいます。美人でスタイルも良いけれど、ちょっとズレていて職場でも浮くくらい生真面目なサチコは、結婚式の翌日もいつも通り出勤。しかし、やはり仕事に身が入らず、しばらく休めと言われる始末。新郎に逃げられてしまったくらい何でもないのに、みんなに気を使わせてしまったと反省するサチコ。しかし、ふと俊吾のことを思い出し、街中で号泣してしまいます。俊吾のことで頭がいっぱいなサチコがたどり着いたのは一軒の定食屋。そこで食べたサバの味噌煮のおいしさに、俊吾のことも、彼が消えてしまったことも一瞬忘れてしまいます。このサバの味噌煮をきっかけに「おいしい物を食べる → 俊吾さんを忘却」という図式に気付き、出張先や旅先などでおいしいものを食べまくるようになったサチコなのでした。

 サバの味噌煮のおかげで、短時間でも俊吾のことを忘れられた、と告白したサチコに対して、後輩が掛けたのは「きっかけはともかく…人間らしい食事ができるようになったってことですよね」という言葉。「いつもサチコさんって、10分以内に食事済ましてたじゃないですか。どう見てもロボットが生命維持のためにエネルギー補給しているって感じで…」と続くセリフに、「もしかして私のこと?」と感じたら、週に一度だけでも、一人でゆっくりランチを取ってみませんか。

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