生きること、働くことを考える 「健康で文化的な最低限度の生活」

柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」(小学館)は「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中。単行本は4巻まで発売中
柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」(小学館)は「ビッグコミックスピリッツ」にて連載中。単行本は4巻まで発売中

 最後に紹介する「健康で文化的な最低限度の生活」は、とある自治体の生活課に配属された新人公務員・えみるの成長を描いたお仕事マンガです。生活課の仕事とはつまり、生活保護の支給や就労の支援を行うこと。新人ケースワーカーとして100件以上のケースを任されたえみるは、家庭訪問や面談を繰り返しながら、生活保護受給者と向き合います。

 夫のDVで離婚した女性、過去に事業に失敗した男性など、さまざまな事情で生活保護を受ける人たちが出てきますが、それぞれの事情を過剰に重たく描くことはありません。今困っている人が前向きに生きられるようにするためには、どうすればいいか。これは、どんな仕事にも通じる考え方ではないでしょうか。えみるを支えるベテランケースワーカーの「どんな人にも、その人なりの『都合』があります。人は自分の『都合』でしか動きません。その『都合』を知るには、まず相手にしゃべってもらわないと」という言葉は、コミュニケーションの基本。職場でうまくいかない、相手に気持ちが伝わらないと感じたら、一度このマンガを読んでみてはいかがでしょうか。登場人物たちのセリフが、働き方や、働く意義を見失いがちな日々のヒントになるかもしれません。


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文/樋口可奈子 イメージ写真/PIXTA