女性のヘアスタイルで年齢がわかる!

 そして女性の髪型の変化は、子供と大人を区別する目安にもなっていたそうで、髪の毛をアップにしているかどうかでそれがわかるのだとか。

 「下の2枚の絵は似た構図とシチュエーションを描いていますが、片方は髪を下ろしていて、片方は髪を結い上げています。これこそが、少女と大人の女性の違いなんです」

左 《ピアノを弾く少女たち》
1892年 油彩/カンヴァス オルセー美術館
(c)RMN-Grand Palais (musée d’Orsay) / Hervé Lewandowski / distributed by AMF

右 《ピアノを弾くイヴォンヌとクリスティーヌ・ルロル》
1897-1898年頃 油彩/カンヴァス オランジュリー美術館、ジャン・ヴァルテル&ポール・ギヨーム・コレクション
(c)RMN-Grand Palais (musée de l’Orangerie) / Franck Raux / distributed by AMF

 「ヨーロッパでは古くから、髪の毛はセクシャルなイメージがあったので、大人の女の人が髪を下ろしていると性的に淫らな印象を与えてしまうため、舞踏会デビューを迎える14、5歳頃になるとみな、髪の毛を長くし、それを結い上げるようにしていました」

 絵画の背景には、当時の風習や流行がギュギュッと詰まっているんですね。そうと分かれば、もっと身近に芸術を楽しめそうです!

 「ルノワールはロココ趣味もあったのですが、ロココの絵画は“生きる歓び”を描いているんです。だからルノワールも、生活を豊かに彩ってくれるファッションを絵にしたのかなと思います」

美術展ってどう見ていいかわかりません

 話はガラリと変わりますが、私は美術展に足を運んだことがほとんどなく、時々行くと緊張してしまいまして……。さらに自意識過剰もあいまって、「この作品を素通りするなんてとんだ美術オンチね」なんて思われていたらどうしようなんてぐるぐる考えてしまい……。

 「職業柄、私はファッションを見るのが好きなので、最近まで実は、ルノワールの風景画を丁寧に鑑賞することはありませんでした(笑)。自分が惹かれるものを、好きなように楽しむのが一番ですよ」

 少し安心しました…。皆さんも肩肘張ることなく、ふらりと美術展に足を運んでみてはいかがでしょうか。「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」を開催している国立新美術館は乃木坂駅直結のうえ、フリーで座れる場所もたくさんあるので、買い物のひと休みにもぴったりでした!

文/小泉なつみ

「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」
国立新美術館/8月22日(月)まで/休館日は毎週火曜日(8月16日は開館)/10時~18時(金曜日と8月13日、20日は20時まで)
URL:http://renoir.exhn.jp/